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傍のソバ・ハノイ編/タイ湖畔で老舗の特製Bún Ốc


Ốc/オックはカタツムリと訳されますが、アレを食べるかと思うと思わずオックとなってしまうので、上品にエスカルゴと訳します。
幼児の握り拳くらいの巻貝で、身はアワビのようにコリコリしていて味も悪くありません。場合によっては苦かったり独特の匂いがあったりします。
Bún Ốcはそれのブンです、って言わなくても、
 
ワタシはこの歳になってもこれとBún Riêu/ブンズィェウ/カニ味噌トマトスープブンとの区別がイマイチ分かっていなくて、店に入る時にブンズィェウオックかと思って入ったらズィェウなしでした。早い話アワビのブンです。
 


店の名前はBún Ốc Bà Ngoại。Ngoaiばあさんのブンオック。
店に人の名前を付けたのを見るとニッポンだとそんな人ホントにいたのかと如何わしく感じますが、こっちでは普通にあります。中には玄関先に遺影としか思えない顔写真を掲げている店もあり拝んでから入ります。
看板の下に1954と書いてあるので素直に読めば1954年創業ってことだろうから第1次インドシナ戦争でフランスに勝って独立した年にできた店です。番地じゃないだろうし。
 
先月蓮の花を見た帰りにタイ湖の傍の道を歩いていて、店先の庭が静かでキモチよさそうだったので入りました。静かだったのはまだやってなかったからでスープができるまで30分くらい待たされました。
待ってる間にサイクリングのオバサングループが入ってきて顔洗ったり着替えしたり日焼け止め塗ったりで一気にうるさくなりました。もちろん着替えは奥の部屋でしていました。そういう近所のコミュニティーの場みたいな店なんでしょう。
 
メインの具は大きなオック、油揚げ、肉団子です。それらがイタリアンかと思わせるトマト味のスープに浮かび、葱が気前よく振り掛けられて、見た目にも完成度の高い一杯と言えましょう。お察しの通り若干スパイシーです。夏はこういうのがウマいっ。
麺もココロなしかプリプリ感が半端じゃない、とまで言ったら老舗の雰囲気に呑まれたとしか。食べ物の味は雰囲気が半分ですから。
 
サイクリングのオバサン達は和やかに、アヒルが歌うように食べていました。ワタシは朝っぱらからビールを2杯も飲んですっかりいいキモチになって、帰りのGrab上の人となりました。



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