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ハノイ制服図鑑/Pho Thin Tokyoの本店の支店

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Pho Thinは昨年3月、東京の池袋にオープンして話題になったハノイのフォーの有名店です。門外不出のレシピとまで言われていたのに、ここにきてハノイでは支店ラッシュです。
本店がLo Duc 通り13番地にあり、支店はPho Thin 13 Lo Ducという名前で、従ってこの店は61 Quan Su、Pho Thin 13 Lo Ducとなります。
わかり難いですが、観光客はつべこべ言わず本店に行ってください。

本店と比べてスープが薄いとか肉が硬いとか、麺のコシがないとかネギが少ないとかいろいろ悪口を言うヒトもいますが、ワタシはこっちのほうが好きです。
床にティッシュや絞った後のスダチが散乱していなくて、食べ終わる前に次のお客に席の後ろに立たれてプレッシャーをかけられることもなくて、厨房も道路とガラス壁で仕切られているのでバイクの巻き上げる砂埃がスープ鍋に入ることもないので。あらゆる面でゲンダイ人の要求を満たしています。

ここの制服は一言で言えばダサい。
男女とも袖口と襟が黒い真っ赤のポロシャツに黒のズボンです。
ズボンの中にポロシャツの裾を入れ込んで、黒の太いベルトでウェストを締め上げて着ます。伊丹十三のマルサの女で宮本信子が演じている税務署捜査官みたいです。
ズボンは丈がやや短く、ただしぴっちりしたレギンスみたいなのじゃなく学生ズボン風で、よりダサく見えます。
真っ赤なシャツの胸と背中に店のマークであるThinさんの顔のシルエットが大きくプリントされています。
かなりダンディに見えますが、実際は中年太りした普通のソバ屋のオヤヂです。

ソバはネギと牛肉がたっぷりで、丼から溢れんばかりの状態で運ばれて来ます。
普通のフォーボーのほかにBeef Tendon Phoというのがあり、普通が60k.ドン≒280円に対し、Tendonは70k.ドン≒330円です。牛肉を赤ワインで煮込んでいるというウワサです。右下の図は普通+卵乗せです。
ハノイ人はジブンの好きなように味付けして食べるので、テーブルにはスダチと唐辛子のほか、酢系の液体とどろどろ唐辛子ニンニクソース、胡椒、醤油が置かれています。

半熟卵乗せや揚げパン、冷たいお茶付きのコンボメニューが僅かにお得です。
コンボというのは、2016年にオバマ大統領がブンチャー屋にお忍びを装った周到なイメージ戦略として訪れた時に、揚げ春巻きとビールを一緒に注文したのが後にオバマコンボとして有名になり、その後いろんな店で取り入れられたセットメニューのことです。
キムさんがトランプと決裂したときの、結局食べられなかった某ホテルのランチメニューも、その後しばらく幻の首脳会談ランチとして出されていました。
あのランチが食べられていたらその後の世界は変わっていただろうと、既に歴史に残るランチになったと言えるでしょう。

この店は本店と比べるとかなり空いています。味にこだわるハノイ人にはイマイチなのかもしれません。
でもワタシはいつまでも空いててほしい。空いててそこそこウマい店というのが、ワタシが描くレストランの理想形ですので。

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