見出し画像

ハノイ 裏道生活/『Bát Sứ通りのBún Chả屋』


今回は煙棚引くブンチャー屋です。
ブンチャー屋は道路に面した店先で肉を焼くので煙がモクモク広がります。ウマい肉、焼いてまっせ、みたいなサインです。
マズい店ではまとめて大量に焼いたのをお客に出す前にもう一度炙る程度なので煙は出ません。店によっては電子レンジでチン。
こっちでは練炭を使う店が多く、火力を強めるために扇風機で煽るので道路は視界不良になるほどです。ドローンで上から見たら、旧市街のあちこちから煙が立ち上っているのが見えるでしょう。
 
ハノイ旧市街はそれほど広くなく、長辺が東京で言えば御茶ノ水駅から神田駿河台下くらいまでの距離です。軽く一周できます。坂はありません。
この店は旧市街の真ん中やや西寄りの、小洒落たガイジン向けベトナム料理店や今風カフェが並ぶBát Sứ/バッスゥー通りにあります。
旧市街を東のほうから散歩して、そろそろこの辺で南に折れ曲がって家のほうに向かうべか、と思って曲がったら煙が見えたので急遽ブンチャーランチと相成りました。
 
店に入るっていう言い方は正確ではありません。ダイニングスぺースは店先の道端なのでプラスチックの幼稚園椅子に腰を滑らすって感じです。
店の隅のほうでは菅笠を被ったオバサンが煙の中で肉を焼いています。ジュージューと油が燃える音が聞こえ匂いが漂ってきます。
もう一人のオバサンがブンと葉っぱ類を先にテーブルに運んできます。その帰り道に菅笠オバサンから肉の櫛を2,3本受け取って奥の調理場に運びます。それで櫛から肉を捻り取ってつゆに入れてできあがり。まさに焼きたて採りたて運びたて。ウマいです。
 
ハノイ旧市街の魅力は歴史的景観とかセカイ胃酸とかそういうレベルのものじゃなく、今まさに人が生活し建物が建て替えられる中を観光客が彷徨い歩くところです。
実際目の前に突然10階以上のガラス張り近代的ホテルが現れ出ることは珍しくありません。
●▼さえ積めば何でも許可されるので、されたので、そういう状況が至る所で見られます。
今は若干規制が厳しいようです。が、新築建物はフレンチコロニアルスタイルにしろみたいな行政指導があります。何考えてんだろ
 
せいぜい100年くらいしか続いていないものを歴史だと思い込んで絶対守らないといけないと思うような人にはハノイの面白さはわからないでしょう。
無計画にどんどん建て替えられている一方で、道端でソバを食べたりブリキ屋のオヂサンが仕事してたり、人々の生活が変わらずに続いている、そこが面白いワケで。
ドゥブロヴニクやヴェネツィアみたいにキレイじゃなくてゴミが溢れて臭くて汚いのも魅力の一つです。人によっては二度と来たくないと思うくらいのほうがいいじゃないですかあ。
 
その面白さをソバ屋の風景の中に描いているつもりですがいつまでたっても題名に掲げたオンナの人が登場しません。
次回は美人オカミメインで、モナリザの如く街並みが背景に映り込んでいる構図でトライしたいと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?