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ベトナム鍋図鑑/『Món Ngon Sài Thànhのハゼ鍋』


ベトナム人は鍋料理好きです。特に北のほうは冬が長いので今から3月まで宴会と言えば鍋。寒い道端で食べる鍋はまた格別です。ぴゅーぴゅー
中身は魚介系、牛豚鶏山羊系、蛙系、野菜茸花芋系、豆腐系など様々です。正体不明の物も時々ありますがワタシは気にせず食べます。人が食べ物だと言って食べるものは食べ物なので。
これだけ種類があるとコレクター魂が疼くワケで、老後の楽しみのために図解して記録していきます。
 
まずはウチの近所の南部料理の店Món Ngon Sài Thành/モンゴンサイタィンの名物鍋、Lẩu Cá kèo tại/ラウカーケオタイ=ハゼ鍋です。Lẩuは鍋、Cáはサカナ、Cá kèo tạiでハゼのことです。
ホーチミンでも現地の人に連れていかれて同じようなものを食べたことがあります。南のほうで鍋と言えばコレなんでしょう。
 
スープが煮立ったら10匹以上のハゼを生きたまま鍋に放り込んで、蓋で押さえて動かなくなったらオッケー。若干残酷系の鍋です。
ニッポン人も踊り食いみたいな原始人的なことをするのでヒトの事は言えません。っていうか踊り食いのほうがはるかにグロ。料理は民族のアイデンティティーに関わることなので恥じることはありません。
 
スープは色味とは裏腹に辛くはなくむしろ酸っぱ系です。
Lá Giangという緑の葉っぱとRau muốngという翻訳的にはホウレンソウ?を細かく刻んだ黄色いモノが浮いています。このLá Giangが酸っぱさの素です。
 
野菜は図の右から苦みの強いRau đắng、キク科の草で別名エンダイブレタス? かなりクセがある。
黄色いのはHoa điên điển、ニッポン名はクレイジーフラワー? 奥の緑のはRau muống/ホウレンソウ?で手前の茶色っぽいのはベトナム料理ではお馴染みのHoa chuối/バナナの花です。
左の奥はHoa so đũa、訳すと抹茶の花だけどよくわからない。真ん中にそびえたっているのはNgồng tỏi/ニンニクの葉っぱと花です。このほかにも下のほうにフキみたいな茎系の束がごっそり埋まっています。
ニッポンの鍋には使わないモノばかりで、野菜類こそがベトナム鍋を特徴付けていると言っても過言ではありません。
 
この店ではハゼの投入は店の人が鍋を途中で厨房に持っていってやってくれます。動物愛護的配慮なのか、お客には見せられない事情があるのかわかりません。
ハゼは内臓もそのまま煮込むので、それらがスープに溶け出して奥深い味わいを醸し出します。尻尾のほうを箸でつまんで、尻尾自体は食べずに本体を丸ごと食べます。
背骨は硬く、周りの身がトロっと崩れるのでツルっと飲み込みます。トロっ、ツルっ。アタマの部分も硬いので無理に食べないほうがいいでしょう。
 
全体的にはシシャモ鍋です。悪くありません。野菜と魚で栄養的にもGoodなBalanceです。
具を大方食べ終わったところでブンを一掴み入れて軽く温めてスープと一緒にお椀に取ります。これがウマい。雑炊にすることもたまにありますが〆はブンが主流です。
ほかにインスタントラーメンの麵だけを入れることがあります。あまりに安易ですがこれも悪くありません。

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