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ハノイ特殊観光案内/桜の代わりにHoa Gạoの赤い花巡り/最終版

ハノイ滞在14年目の春が来ました。
ニッポンに帰ってアレが食べたいとかアソコに行きたいとかそういうことはないけれど、やっぱり今の季節、桜が見たいです。
この前見たのは2016年。枝垂桜がココロに沁みました。桜に惹かれる理由は人それぞれでしょうが、ワタシの場合はまた1年イキたって実感です。

ハノイにも季節の訪れを感じさせてくれる花はあります。テトの頃の桃とか、5月6月の蓮とか火炎樹(鳳凰木) とか。
それらを見ればそれなりに1年の節目は感じられます。
ここ1,2年はコロナで世の中が変わったこともあり、このHoa Gạoという真っ赤な花が咲くのをしみじみ待ち侘びる、みたいなキモチでいます。
葉が出る前に花が咲き、1週間くらいで地面に落ちて終わります。とにかく花がリッパで、両掌からはみ出るくらいです。

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和名はキワタ(木綿)、アオイ科キワタ属の落葉高木で、タネがはじけると中から丸い綿毛が飛び出して地面を覆います。ベトナム語のHoaは花、Gạoは米で、オシベがコメ粒の形をしているのでそう呼ばれます。って黒いコメかっ!
モノの本によれば中国では英雄の木とも呼ばれています。潔く散る、みたいなイメージでしょうか。

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ハノイのどこにでも生えているというワケではありません。むしろ珍木です。
1周1.7キロのホアンキエム湖畔には1本、毎朝走るハノイで一番大きなトンニャット公園には皆無です。
花が丸ごと落ちるから縁起が悪いとか、そういうのはないと思うんだけど。
伸びると高さ20m以上になって、その木の上のほうだけで咲くので花を間近で愛でることはできません。地べたに落ちたのを拾って家に持ち帰れば、3,4日は見事なオシベとキレイな色を楽しめます。

ワタシが知ってる限りの数少ないこの木のゲンバを見て歩きます。


①旧インドシナ雲南鉄道本社、現運輸省庁舎

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まずはハノイ駅の近く、すぐ傍で地下鉄工事が進んでいるので枯れなきゃいいんだけど。
フランス統治時代に建てられたIndochina様式の建物をバックに、1本だけひょろっと立っています。数年前のある朝散歩してて、辺りの地面が真っ赤になってるのを見てこの木の存在に気付きました。
ひとつ拾って家に持ち帰りました。こんな赤、見たことない。衝撃的でした。


②旧フランス極東学院博物館、現歴史博物館

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おそらくハノイ市内で一番の巨木が生えています。敷地内に2本あり、どちらも30m以上あります。
建物はフランスが1932年に建てたので、その頃植えられたものと想像します。樹齢90年。こっちは木の成長が速いのでそんなもんでしょう。
先週末にこの花を愛でる祭りが開かれ、アオザイを着たオネーさん方が木の下でお茶飲んだり弁当食べたりしていました。

外の歩道にもたくさん花が落ちていて、近所のオバサン達が拾いに来ていました。花弁がお茶になるとか。
建物の黄色の壁に真っ赤な花が映えます。黄色と赤の組み合わせはベトナム国旗そのもの。ただベトナムの国花は蓮です。


③Army Hotel

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歴史博物館のすぐそばにある軍のホテルの前庭に立っています。
建物の8階の高さ以上あります。これも30m越え。下のほうは葉が出始めています。
ここは看板にホテルとありますが、軍関連の迎賓館のようなもので部外者立入禁止です。
Army Hotelという名前の別のホテルはPhan Dinh Phung通りの北門教会の近くにあります。そっちは一般人も泊まれます。コスプレおねーさんの派手なバーがあるとかないとか。


④Hoan Kiem湖畔、Ly Thai To公園向かい

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リッパな木です。歴史博物館と甲乙つけがたい。
先週末、約1年ぶりにHoan Kiem湖周囲の道路が車両通行禁止となり、所謂歩行者天国というものですが、ちょっとこの言い方に馴染めないので。テンゴクだなんて、、
それで沢山の人が出てこの木の下で写真を撮っていました。

風が少し吹くだけで花が上から落ちてきます。ドサっ。大きいので脳天に当たると痛いです。
ワタシはファウルボールをスタンドで待ち受ける小僧のように、上を見ながらじーっと待っていました。
形からしてバドミントンの羽根のようにひゅるひゅる回転して落ちて来そうなものなのに、アタマが重すぎて一気に地面に激突します。
運よく芝生に落ちたのはキレイなまま拾われます。スマホのライトで花の後ろから照らすと、赤が炎のように燃えて見えます。


⑤EcoparkのStarbucks前

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Ecoparkはハノイの南20キロの位置にある大規模開発地です。名前のEcoは緑が多いっていうだけで、スマートシティだなんだといった面倒なことはやっていません。
ただその緑がハンパなモノじゃなく、ハノイで一番緑豊かなエリアと言っても過言ではありません。厳密にはハノイ市ではなく隣のHung Yen省です。焼き物で有名なバッチャン村も近くです。

樹齢100年以上の木がこれでもか、っていうくらい植えられています。ラオス国境近くの山から抜いて運んできたとか。
あまりに広いので全部を探してみたワケではありませんが、ハノイ側からゲートを入ってすぐの、Starbucksの洒落た建物の前庭に1本生えています。
上を見てもほかの木に遮られて咲いているのはほとんど見えません。地面を見てこの木の存在に気付きます。


⑥Park Cityの街路樹

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ハノイ中心部から西に20キロ行ったところにある新興開発住宅地です。ニッポンのM不動産とは関係ありません。
近くに私立大学やほかの住宅開発地や大規模商業施設があり、今後人口が激増するエリアです。ハノイで最初の市内鉄道の終点もこの近くです。

街路樹にこの木が使われているというので見に行こうと思ったら、人とバイクでごった返していて遂に通行規制までされたとWebに出ていました。
まだ6~7mの苗木ですが、ニッポンの苗木と比べたらケッコウな高さです。10年後には10mを軽く越えるでしょう。その時は見ものです。30年後の凄い光景が目に浮かぶ。

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(3月27日追加)
⑦ベトナム国家建設大学玄関脇

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ハノイで一番大きなThong Nhat/統一公園の南側には大きな大学がいくつか集まっていて、東京なら本郷あたりの雰囲気が漂っています。言い過ぎか。
北側から工科大学、建設大学、経済大学と並んでいます。たまに歩きますが学生街は活気があっていいですな。
この辺の学校に通うのはベトナム中から選ばれて集まった完全エリートで、お下劣なサークル活動にウツツを抜かすようなのはいません。

その中の建設大学/Vietnam National University of Civil Engineeringの玄関脇に20mくらいのが1本立っています。道路幅が広くて引きが取れてるので遠くからもよく見えます。どうして今まで気づかなかったのか、東大下暗し。


⑧ハノイ フレンチホスピタル角

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建設大学のやや斜め向かいのガイジン向け高級病院の敷地の角です。踏切の脇です。こっちも20mくらい。ワタシは行ったことのない病院なのでこれまで気づきませんでした。

そこから南はベトナムで一番大きなBac Mai病院が1キロくらいの長さで連なっています。ニッポンのODAで造られた本館が正面玄関になっています。
中に入ると凄い光景が目に飛び込んできます。外来の待合は大勢の人が殺到していてまさにカオス。
病棟はもっとスゴくて、こっちでは家族やそれ専門の人が寝泊まりして付き添うので、バルコニーは煮炊き場兼洗濯物干し場と化し、一つのベッドに二人寝ているのはザラです。もちろん二人とも病人です。
最近は郊外に大きな公立病院ができ、多少改善されています。


(4月3日追加)
⑨Hoan Kiem湖畔Ngoc Son寺入口

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前にHoan Kiem湖畔には1本しか生えてないと書きましたが、今朝走っていたらこんな目立つところにもう1本見つけました。なんてこった。久しぶりにすごくいい天気で、青空を背景に散り残った赤い花がキレイでした。

Ngoc Son寺はハノイで一番有名なお寺です。観光ガイドの表紙に載ったりしています。Hoan Kiem湖の中の小島にあって、真っ赤な橋を渡って境内に入ります。
コロナで規制されていた頃は門が閉じられて、ハノイの信心深い人達は門の外で扉に向かって祈っていました。マラソンを走り終わったランナーがゴールラインに向かってお辞儀するみたいに。
ワタシは13年もいて一度も入ったことがありません。宗教心がないっていうより、部外者がヒト様の重要な場所に入って行くのはよろしくないんじゃないかと思って。
同じような意味でホーチミン廟にも行ったことない。


2度も書き加えましたが花もそろそろ終わりなのでこれ以上追加はないでしょう。
カンペキを期すような一面を見せつつ、それほど熱心に探し尽くしたワケでもない辺りがワタクシの分裂した2面性の表われと自覚する次第です。

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