存在するための手品がしたい。

わたしは自分のことを手品師などと名乗りたくない何者にもなれない手品師のアリスです。

人前で仕事としてマジックを演じたのはゴールデン・ウイークのたった2日だけです。そのあとは家で引きこもって生きてるのか死んでるのかよく分からないハッピーライフを送っております。とっても楽しいです。

そういうわけで、こうして引きこもって方向性を見失ったまま、マスターベーションのようにマジックの練習をしているのですが、自分の下手くそさにウンザリさせられます。

もはや、わたしのマジックライフもゼロに近いです。が、今のわたしには他にできることもないので、やはりオナニーしまくる猿のようにトランプとコインをイジってしまいます。

時々、このマスターベーション的な演技を動画に収めて見返すのですけれど、あまりに下手くそすぎてチェーンソーで自分の身体をズタズタにしたくなります。などと、流石にそこまで過激なことは思わないのですが、しかし今のわたしは人前で演技慣れしていた時に比べると、マジでただの下手くそな手品オタクに成り果てています。ウンザリしてベッドに横になって、『早くこの世界終わっちまわねえかなあ』などと考えてしまいます。

しかし、ベッドに横になっても、枕元にはコインとカードと眼球(手品用)と舌(手品用)と薬指(手品用)が置いてあり、逃げようとしても逃げられないのです。

さらに、やることもないのでついついTwitterやInstagramなどを開いてしまい、自分よりうまい人の手品を見てしまうのですが、そのたびに(自分より年下か年上か関係なく)、存在が失われるような錯覚に囚われます。

そして、反射的に《わたしにはわたしにしかできないことがある》と言い聞かせようとするのですが、さらにもう一人の自分が《そんなものはおまえの負け惜しみの言い訳だ。手品なんてやめちまえ》というのです。

ああ、そう言えば一年ほど前に、わたしに『手品なんて辞めちまえ』と言った、プロマジシャンがいました。わたしにとって彼は全く信念のない、実につまらないマジシャンで、よくあんなクソ野郎が堂々と手品師を名乗ってプロフェッショナルを続けていられるなあと、尊敬の念を抱かずにはいられませんでした。わたしもあれだけ鈍感になれたら、どんなに幸せだろうか! と、思いますが、やっぱりあんなふうにはなりたくはない。お断りだ。

わたしは自分のやるべきことを練習しないと。がむしゃらに進むのではなく。わたしの向かうべき正しい道に向かって上手くなりたい。

生存するためではなく、存在するために、上手くなりたい!

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