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暗黒日記Z #2 「トラウマ」

またなんとも仰々しいサブタイトルである。二回目にしてこれとは果たして多くの人に読んでもらいたいという気持ちがあるのか疑わしい。無いのかもしれない。

トラウマというテーマで書こうと思ったのは、今日ふと過去にあった出来事を思い出したからだ。それは小学生の時のことで、私は授業の一環で川だったか海だったか、そのあわいのような場所だったかは忘れたが、とにかく水辺へ学年全員で、いやクラス全員でだったか、それも定かでないが、まあとりあえず向かったのだった。

目的は釣りをすることだった。今になって思い返してみると、どうして小学校の授業で釣りに行かなければいけないんだ、と思う。平成の世でやることか。昭和ならまだ分からなくもないが、平成の小学校で釣りなんてするのか普通。

もしかしたら私の通っていた小学校ってかなり変なところだったんだろうかという気がしてきた。田舎ではあったけど限界集落のようなところではなくスーパーはいくつかあったしTSUTAYAもあったし(地元の友人曰く今はもう無いらしい)ゲーム屋もあった。そうなるとやはり単純に学校の方針が少し変わっていた可能性は高い。

そんな変わった学校のおかげで釣りに行かされた私は、確かボラを二匹かそこら釣り上げた。それでいい気になって竿を勢いよく振り回し、その次に釣り上げたのは「自分の眉間」だったのである。

どういうことかといえば至極単純なことで、竿を振りかぶった時に針が自分の眉間へ見事突き刺さってしまったのだ。刺すような痛み、もとい、刺さっている痛みを感じつつ私は針を抜こうとした。しかしいくら引っ張っても針は抜けない。

当然だった。釣り針というのはそういう風に出来ているのだから。引っ張れば簡単に抜けるようでは、魚にとってあまりに親切すぎる。引っ張ったところでびくともしないからこそ釣り針は釣り針なのである。

周囲の子供達から黄色くない悲鳴を浴びつつ、私は病院へ搬送され、眉間を切開することになった。大きな病院ではなくいつも風邪を引いた時に通っていた小さな開業医のところだったので、こんなところで手術ができるのかと私は慄いた。

そうした私の気持ちなど関係なく局部麻酔を打たれ、意識がはっきりしているなかで決して手術台などではない学校の保健室にもあるようなやっすい、しかも謎に高さのあるベッドの上で、私の眉間は切り開かれた。案外、恐ろしさに目を閉じているうちにあっさりと作業は終わった。

考えてみれば小さな針を抜くだけなのだから、それほど大がかりなことをする必要もなかったのだ。傷痕も残らなかったので、鏡を見ても思い出すことは今日までなかったわけである。いや、数年に一度思い出すことはあったが、それは眉間を見ることではなく、ゲームで釣りをしたことなどがきっかけとなっていた。

だから、正確にはこれはトラウマではないかもしれない。だがもしあのとき釣り針が眉間ではなく左右に少しずれた位置へ刺さっていたらと思うと、つい身震いしてしまうのはどうしようもない。

釣りのトラウマから別のトラウマ話、例えばトラウマになっているアニメや漫画などのシーンについて語ろうと思っていたけれど、思いがけず既に長々と書いてしまったので今回はこのくらいにしておこうと思う。

では最後に今週のオススメソングのコーナー。聴き心地が良すぎて無限にリピートしている。

こんな記事で紹介しちまってすまんという気持ち。

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