名古屋在住の白川町マニア発!町の楽しみ方~下平のエノキから江戸を思う〜
私は大学生の頃、江戸にハマっていた。
特に江戸蕎麦が好きだった。
粋な江戸っ子は、「蕎麦を噛まずに飲み込み」、「つゆに蕎麦を浸しすぎない」というのを本で読み、よく蕎麦屋に行って食べる練習をしていた。
蕎麦の食べ方から、必死に江戸っ子の「粋」を身につけようとしていた。
そんな粋な大人に憧れていたことを、白川町にある「下平のエノキ」を見て思い出した。
◆三川下平の県道脇には大きなエノキがある
このエノキは、江戸時代に一里塚として植えられた。
一里塚とは、通行人が歩行距離を測れるように、道に一里(4㎞)ごとに置いた目印だ。
下平のエノキは樹齢300年、高さ18m、太さ3.2m、枝張り15*20mの大木で、白川町指定天然記念物である。
◆エノキは葉っぱが特徴的
エノキは秋になると果実がなり、鳥が食べて落とした種から増えていく。
だから、名古屋の空き地や、街路樹の脇にも幼木が結構ある。
葉っぱが特徴的で見分けやすいので、是非、自宅の周りなどを散歩ついでに探してみてほしい。
エノキの4つの特徴
・葉っぱが一枚ずつ互い違いにつく(互生)
・葉の先半分がギザギザで(鋸歯)、形はひし形
・葉脈が付け根から3本に分かれる
・表面がつやっとしている
特に、葉先半分がギザギザしているところと、3本に分かれる葉脈がチャームポイントだ。
◆江戸時代の白川町の人たちと「下平のエノキ」でつながる
今回、私は「下平のエノキ」のような大きなエノキは初めて見た。
このエノキが植えられた道は、白川街道と呼ばれ、江戸時代には年貢として白川茶を納めたり、遠方に売りに行ったりするのに使われた。
通行人はエノキの木陰で休憩したり、風をよけたりした。
エノキの陰で涼んでいると、江戸時代の白川町の人たちとつながれた気がして、じんわり嬉しくなった。
◆「粋」な大人から程遠い現在
「粋」に憧れた大学時代から8年経った現在、私は蕎麦はよく噛んで食べたいし、蕎麦はつゆに好きなだけ浸して食べたい。
粋な大人からは遠い。
今は、ピアチェーレの向かいの蕎麦屋「つる兵衛」で、テラスからの自然を見ながら美味しい蕎麦を食べている。
参考文献
「白川町誌」,1968年1月,p.720-723
「白川町茶業史」
(次回:榧)
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