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認識できない世界

スマホという道具は、どうやってネットの情報をキャッチしているのでしょうか。

有線ケーブルとつながっていれば、ケーブルの中を情報がくぐってくるイメージができます。しかし、どこにもつながっていないスマホの画面に、なぜネットの情報が出てくるのか?
空気中にふわふわと情報の粒が浮いていて、それをキャッチしているのでしょうか?

どうしてスマホで通話もできてしまうのか?
糸電話なら、音の振動が糸を伝わってくるイメージができますが・・。

よく考えてみると、私たち人間も、何かが見えるのは「光の粒子」が目に入ってくるからですし、何かが聞こえるのは「音の波動」が耳に入ってくるからです。「空気」が身体に入ってきて呼吸もしています。

光の粒子、音の波動、空気、スマホの電波、そしてウイルス・・
私たちは目に見えない世界、認識できない世界とつながっている。だから、つながりが目に見えなくても、スマホでネット検索や通話ができてしまうのですね。

人間の目に見える世界が全てではない。スマホを眺めていると、人間が認識できない世界が広がっていることに気づかされます。


そもそも「認識」というのは、身体のどこで、どのように起こっているのか?
おそらく、スマホのように、空気中を伝わる光や音を身体がキャッチし、神経系を電気信号が伝わって、身体のどこかで「認識」なるものが生じているのでしょう。でも、「認識」がどのように生じているのかは、認識できません。

認識のメカニズムすら分からない上に、人間が認識できない世界が無限に広がっているわけですから、人間の認識が正しいとは限らず、そもそも絶対に正しい認識など存在しないのかもしれません。


裁判というのは、人間が認識できる世界だけを対象にしています。裁判は、裁判官という”人間”が認識した事実に基づいて判決を下す手続です。

人間の認識に過ぎない判決は、当然、正しいとは限らない。それなのに、判決が確定すると法的な強制力が発生し、差押えや刑罰の執行が実行されてしまいます。

社会の秩序を維持するには、民主主義に基づいた法律、法律に基づいて裁判官が下した判決に従わざるを得ません。民主主義や裁判の手続において、認識の限りを尽くし、正しさを追及していくしかないですね。
(了)


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