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「心」が先か、「環境」が先か

学生の頃に通っていた司法試験予備校。伊藤真先生の講義で印象に残っているのは、「うまく行かないことを、人のせいにしない」という言葉です。「夢をかなえる勉強法」(伊藤真。サンマーク文庫)

「試験が上手くいかないこともあるでしょう。そんなとき、親とか交際相手とか、周りの人のせいにはしないでください」

肝心の講義内容は忘れても、伊藤真先生のその言葉だけは今でも強く心に残っています。


「周りの人や環境のせいにしない」ということを肝に銘じましたが、裁判官や弁護士を経験して様々な人生に触れると、自分の力ではどうにもならない環境のせいで上手くいかないこともあること、むしろ、その方が多いことを知りました。

裁判官時代、合議体(3人の裁判官)の一員として刑事事件に関わりながら、「もし自分が被告人と同じ環境で育っていたら、どうなっていただろう・・同じことを絶対にしないと言い切れるだろうか?」と自問自答したことが、よくありました。

「原因」と「結果」の法則 (ジェームズ アレン (著),  坂本 貢一 (翻訳)/サンマーク出版) メディア掲載レビュー
「現実がままならないのは、すべて悪しき思いによるもので、環境のせいではないと説く。結果としての成功も失敗も、その原因は必ず人間の心の奥底にある支配的な思いにあると言う」

「心」が原因になってる。それは、そのとおりです。でも「環境」が「心」に影響することもある。むしろ、環境に影響されない心なんて、あり得ないのではないか。

「心」が先なのか?「環境」が先なのか?

「環境」が「心」に影響するし、「心」も「環境」に影響する。すべては関連しあっているのだと思います。

意識の奥に無意識があると言われています。さらにその奥に様々な識があるという考え方もあります。無意識やその奥にある識は意識に上らないのですから、心というより、むしろ環境に近いのではないか。

そもそも、どこまでが「心」で、どこからが「環境」なのか。明確な境目はありません。地球も生物も人類も、すべて宇宙から派生したものです。そう考えると、「心」と「環境」がつながっているのは、むしろ当たり前に感じられます。

うまくいかないときは、環境のせいにせず、自分の「心」を見つめなおす。うまくいったときは、自分の力だと思わず、周りの環境に感謝する。意識の上では、そのように心がけて過ごすのが、一番いいのだと思います。
(了)

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