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白石ポピー
2021年12月31日 02:15
イワシの巨群が目抜き通りを往く。巨群は15階建てのビルと同じくらいの高さで、竜巻のように渦を巻きながら、割れた鏡のように光を乱反射させている。ゆっくりと往きながら、通りのあらゆるものを呑み込んでいく。イワシの鳴き声なのか、それともイワシ同士が擦れ合う音なのか、ギャインギャインギャインギャインギャインギャインギャインギャインと奇怪な音を立てながら、猛烈な生臭さを撒き散らしている。そして、光のせ
文芸ヌー
2021年12月18日 09:09
窓からはらはらと蝶々が入ってきた。銀色の蝶々だ。翅をはばたかせず、部屋の中の微妙な気流に乗って、ティッシュのような軽やかさで漂っている。「そんなガになんて気を取られてないで、こちらに集中してください」「ガなのですか」「どう見たって、ガでしょう」先生には目が一つしかない。私は親しみと敬意を込めて、一つ目先生、と呼んでいる。「ガなのですか」「あなたがその時、手に取っていたものを教えてくだ