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農と生きる

取材があると色々と考える。
瞬発力がないので、その場ですぐに答えられないことがよくある。
あとあと反芻していると、
ああそういうことかと一人気付くことがある。


6月まで勤めていた職場を辞めて、農一本に今はなっているわけだけど、僕はもともと専業農家を目指していたわけではない。

「兼業農家、半農半X、自給農」とも言われる、他の仕事をしながら自分たちの食べる分くらいの小さい農をすることを目指してきた。その心境がどう変わってきたのか。

職場を辞めるきっかけは突発的なものだったが、それに至る片鱗はずいぶん前からあったように思う。社会情勢の変化に伴い、農、ひいては食を取り巻く諸問題を考えるようになった。石油と農薬と肥料に頼り切った農業が、もし立ちいかなくなった時、僕のような豆粒のような農家ができることは何だろうか。

草や虫を敵とせず、すでにそこにあるものを肥料として、ほぼ手作業で作物が育つ環境を整える”自然農”。その知識と技術を持っておきたい。楽をしようとすると大抵失敗するが、少しでも簡単に多収できるように高めていきたい。そして、学びたい人がいれば伝えていきたい。だんだんそう思うようになった。

除草剤を使わず、ビニールマルチも張らない田畑は草に覆われる。炎天下の中、草取りに追われる農家はただの馬鹿だろうか。でもいくら馬鹿だと思われようが、僕にはそれができる。心の底から楽しんでやっている。それを天職というのだろう。

僕は本当に生きるために、この地に呼ばれた気がするのだ。


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