安倍政権は、感染症法を利用した都市封鎖(ロックダウン)をするのではないか。

3/29に、「緊急事態宣言をしても、強制的な都市封鎖(ロックダウン)はできません」という記事を書きました。

記事中で、感染症法についても簡単に触れましたが、「外国でやっているような都市封鎖をすることは難しい」と結論づけました。
しかし、この見解は撤回します。
安倍政権は、感染症法を濫用して、都市封鎖(ロックダウン)する可能性があると考えています。

上記投稿のあとに、小口弁護士、後藤議員のFacebookでの投稿を見ました。


後藤議員の投稿には、委員会でのやりとりが載っています。

3月11日の内閣委員会で、質問しました。

後藤「イタリア・ロンバルディア州のような交通制限は、特措法上、緊急事態宣言をした後でもできないということでよいか」
西村大臣「政令改正して(感染症法33条を新型コロナウイルス感染症の適用対象として)入れれば可能となります」
後藤「やるつもりあるんですか」
大臣「現時点では考えておりませんが、専門家の意見を聞いて適切に判断していきたいと考えております」

この答弁の後
3月25日 小池都知事が安倍総理に要請
3月26日 感染症法33条を適用可能とする政令改正
3月27日 改正された政令の施行
と、バタバタと政令が改正されています。

感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律施行令の 一部を改正する政令等について(施行通知)
https://www.mhlw.go.jp/content/000613829.pdf

感染症法施行規則の改正のタイミング、内容を考えれば、感染症法を使った都市封鎖をこの政権は現実の選択肢として考えているとわかりました。
そのため、考えが変わり、感染症法を濫用した都市封鎖が、現行法でも可能ではないかと考え始めました。

そして、3月3日に、感染症法33条、34条について、立憲民主党の逢坂誠二議員が、国会で質問されました。
http://www.shugiintv.go.jp/jp/index.php?ex=VL&media_type=&deli_id=49985&time=2690.3

逢坂誠二議員 質問(51:55より)
今回読み替え規定の整備によって、新型コロナウイル感染症の蔓延を防止するため、感染症法第33条に規定する、交通規制などが可能になると承知しておりますが、この規制は、72時間いないを一つの単位として繰り返し指定できるのか。
また、同法34条に規定する必要最小限度とは、広い地域を指定できないという意味なのか。

安倍晋三総理 答弁(1:06:00より)
ご指摘の感染症法33条については、感染症の病原体に汚染された疑いのある場所について、原則は消毒を行うところ、これにより、これにより難い場合に、72時間以内に必要な期限に限って、交通の制限、遮断を可能にしているものであり、繰り返しこれを行うことはできないと解されています。
第34条が規定する必要最小限度とは、この措置が病原体の感染予防という目的に照らして、必要最小限度のものであることを明確化する趣旨の規定であり、そうした必要な範囲を超えた地域にまで交通の制限、遮断を拡大することはできないと解されている。

逢坂議員の質問は、私も疑問に思っていた点であり、立憲民主党の宮川伸議員に、厚労省に聞いてもらえないかお願いしていたものと同じ内容でした。


このやりとりからわかることは、
①感染症法第33条の、交通の制限・遮断を繰り返すことはできないが、
②同法34条に関する答弁の反対解釈により、必要な範囲であれば、広い地域の指定が可能である。
ということです。

同法34条の「必要最小限度」という縛りは、建物の制限(同法32条)や交通機関の遮断、制限について、関わってきます。
どこまでの範囲が必要なのかは、また消毒により難いかは、都道府県知事が決定します。
そのため、知事が必要だと判断した場合は、広い範囲を指定した交通の遮断が可能だということになります。

また、交通の制限遮断が繰り返しできないという点も、言外の前提として「同一原因」の場合に限られると考えられます。
そのため、新たな汚染の可能性があるという理由づけがあれば、新たに72時間以内の交通規制が可能と思われます。
このあたりは、刑事事件における、釈放直後の別件による逮捕に近い感覚ではないかと思います。

以上に述べてきたように、国会の答弁などを考慮した結果、安倍政権は、感染症法を利用した都市封鎖は可能であると考えます。

ただし、安倍政権における法文解釈において可能というだけであり、感染症法を使って都市封鎖をすべきという主張ではありません。
都市封鎖は、感染症法では想定されていない事態だと考えるからです。

もし都市封鎖が可能であれば、そこの住民の生存に関する何らかの補助を義務付けた規定が必要です。

少なくとも、都市封鎖するのであれば、住民の生存に必要な物資を、都道府県が配給する必要があります。そして、住民の健康に留意するための方策も考える必要があります。
行政が対応しなければ、住民は、感染する危険な地域で孤立し、感染症による死や、餓死せざるを得ません。
しかし、このような政策については、何ら規定がありません。

そのため、感染症法による都市封鎖は実行すべきではなく、新型インフルエンザ等対策措置法に基づいた要請以上の対応は避けるべきであると考えます。

追記です。

山尾志桜里議員のfacebookの書き込みを見ました。

書かれている内容は、正論だと思います。

広い範囲の都市交通を遮断して、72時間の間におよそ都市圏の消毒を完遂したり、住民のPCR検査を完遂するなどということは考えられず、ひるがえって感染症法では「首都」あるいは「都市」という広い地域の交通を遮断をすることは予定されていない。予定されていない権利制限を法的に認めることはできない、と考えるべきだと思います。

これももっともです。
普通の内閣であれば、感染症法の趣旨から、この法律を使って都市封鎖をするとは考えないでしょう。

しかし、残念ながら、法の趣旨などどうでもよく、権力は最大限に活用し、法律は自分勝手に解釈できると信じている安倍政権が相手ですので、実行する可能性があります。

そのため、法律解釈で対抗するのではなく、「都市封鎖をするには、住民の生活を保障する義務がある。それが実行できなければ、どんなに法律があってもすべきではない。」という観点からの反論をしていき、実現されないように、または実現されても住民の生活を守らせるべきであると考えます。

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