新型コロナ対策としての地方自治体の子育て支援について、生活保護の収入認定をしないように、国は考え方を変えるべきである
1.はじめに
国からの新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金を使って、各自治体で、子育て支援、高齢者支援のための給付金を支給しているところがあります。
ところが、この給付金は、生活保護利用世帯には行き渡らない可能性があります。
2.自治体独自の子育て支援、ひとり親支援が、収入認定されてしまう
酒々井町では、6月議会にて新型コロナ対策として
・中学生以下の子ども1人につき5千円
・児童扶養手当を受給するひとり親世帯などに5万円支給
が予定されています。
この給付について町職員が県に照会したところ、千葉県は、生活保護世帯は、給付額のうち、8000円以上については収入認定される、いう回答だったそうです。
その根拠は、厚労省の5/1付けの通知です
特別定額給付金及び令和2年度子育て世帯への臨時特別給付金の生活保護制度上の取扱いについて(通知)
ウ 子育て世帯、ひとり親世帯、障害者、高齢者等の福祉の増進を図るため、地方公共団体又はその長が支給する金銭という趣旨・目的であれば、次官通知第8の3の(3)のケに定める額の範囲内(※著者注 月額8000円)につき、収入として認定しないこと。なお、 額の範囲についてこれによりがたい場合は、「生活保護法による保護の実施要領に ついて」(昭和 38 年4月1日社発第 246 号厚生省社会局長通知)第8の2の (6)のイにあたるものとして、厚生労働大臣に情報提供すること。
この通知により、千葉県は、8000円までは認定除外できるが、それ以上については収入認定されるという対応をしたのです。
これでは、ひとり親世帯などに5万円はもちろん、子ども一人5000円についても、子どもが二人以上いれば8000円を超えてしまい収入認定されてしまいます。
そのため、酒々井町が独自政策として給付をしても、収入認定された分だけ減らされてしまいます。これでは、新型コロナの影響を受けている子育て世帯を支援する政策目的が実現できません。
さらに収入認定されてしまうと、その後の保護費が減少してしまうため、翌月以降のために、給付された金銭を残しておく必要があります。
しかし、生活保護利用者の中には、金銭管理が苦手な方がいます。そういう方は、手持ちの資金を全て使ってしまい、翌月以降、困窮することが目に見えています。
そのため、金銭管理に不安がある方のために、給付を辞退することもできると説明する必要が生じるとともに、せっかくの給付を辞退せざるを得ない家庭も出てきます。
この通知の対応のままですと、生活保護利用者だけ、様々な支援策を受けても意味が無いこととなり、政策目的が達成されません。
また生活保護利用者と、それ以外の方の格差が拡大してしまいます。
3.収入認定をしないように、国は考え方を変えるべきである
国は、上記5/1付け通知に記載されているとおり、特別定額給付金10万円のみならず、子育て世帯臨時特例給付金1万円についても、収入認定しないとしています。
(2)子育て給付金について
子育て給付金は、内閣府通知において、施策の目的として、「新型コロナウイルス感染症の影響を受けている子育て世帯を支援する観点から、児童手当(本則給付)を受給する世帯(0歳~中学生のいる世帯)に対し、令和2年度子育て世帯への臨時特別給付金を支給する」とされ、対象児童については、児童手当(本則給付)の令和2年4月分の対象となる児童(3月分の対象となる児童含む)とされており、対象児童のいる被保護世帯も給付の対象となっている。
被保護者に子育て給付金が支給された場合の収入認定の取扱いについては、こうした 趣旨・目的に鑑み、平成 27 年度に実施された子育て世帯臨時特例給付金及び令和元年度に子育て世帯向けに販売されたプレミアム商品券と同様に、収入として認定しないこととする。
それならば、自治体独自政策の子育て支援政策についても、収入認定しないことが、国の政策目的と適合します。
子育て世帯の内、生活保護を利用している理由だけで、差別的な取り扱いをすることは許されません。
他の市町村も、子育て支援のための給付金制度を設けると思いますので、同じ問題が生じます。
多くの市町村がこの問題を取り上げ、この通達を変えさせることが必要だと思います。
また、第二次補正予算では、ひとり親支援として、第1子に5万円、第2子以降は3万円を支給という政策を打ち出しています。
これも生活保護利用者の収入認定の問題が出てきます。
国は、国のひとり親支援についてはもちろん、地方自治体の子育て支援、ひとり親支援について、収入認定しないようにすべきだと思います。
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