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【絵本紹介】てんからのおくりもの

昨年末買い物に出かけた時、本のアウトレットコーナーがあったので足を止めた。
なんとなく、ふらっと覗いてみると絵本コーナーに目が行った。
私は小説を読むのも好きだけど、こうして時折気になった表紙の絵本を手に取るのも好きだ。絵本は子どもに読みきかせるイメージが強いけど、大人になった今、手にしてみるとぐっと印象が変わったりする。
「てんからのおくりもの」は、私が大人になってから出版された本だけど、改めて出会うことができてよかったと思えた一冊だ。

実はこちらの絵本を見つけた時、最後まで読んで素敵だと思ったのだけど、購入には至らなかった。
だが、年が明けて別の書店に立ち寄ると、偶然にもこの絵本を見つけることができたので購入した。

この絵本は、やわらかい色使いが温かな印象を与える一方で、物語の舞台は秋から冬にかけてのごく僅かな期間をメインに描いている。
そのなかでひとりぼっちの小鹿と、ひとりぼっちの年老いたテンが二匹で冬支度をするのだけど、テンには実は秘密がある。
そして、その秘密を決して言葉にはしないのだけど、小鹿を思いやるテンの優しさや愛情が文章からも振り返ったテンの表情にもよく表れている。
私はこの記事を書くためにもう一度声に出して読み直したのだけど、作者である金澤さんのあとがきで耐えきれず泣いてしまった。
出会いと別れが美しく、優しく描かれた一冊だ。
穏やかで愛に満ちた作品なので、この記事を読んだ誰かの手に「てんからのおくりもの」が届いてくれると私はとても嬉しい。

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