【映画感想】蝋人形の館

昨晩寝る前にポゼッションというホラー映画を見てなかなかいいと思ったのだけど、ケーキ食べた後のポテトチップス感覚で別ジャンルのホラーが見たくなったのでU-NEXTを開いた。
お目当てはタイトルにあるように蝋人形の館。
映画好きの実父が「俺、昼間でもあれ見れないんだよ」と、ちょくちょく言っていたので「そんなにか?」なんて思いながら見始めた。
ちなみに実父は一緒に映画館でホラー映画を鑑賞すると、驚く度に肩を揺らして反応するのでその振動が隣の席の私にまで伝わってくる。
言うほどびっくりポイントでもないところで座席を揺らすので、実父の「これは一番怖い」は映画のキャッチコピー並みに信用できない。

以下、感想

序盤から思っていたが、自分が生まれるより前の時代の描写を上手く映像にしている作品は本当に素敵だと思う。
たとえば冒頭の蝋人形制作のシーンから、制作者の家族のやり取り。なんでもない朝の風景の筈なのに、必要な部分だけを写し、過剰と思われる登場人物の行動を自然に盛り込むことでその一家に何か秘密があることが窺える。
爽やかな朝と明るい風景に紛れた異様さが「これから何かが起こるぞ」という不安を先行して植え付けてくれる。
そうして無駄のない秘密をさらりと流して全く違う場面へ切り替えた後に来る本編。
開始30分くらいはよくある陽キャな若者のわくわくスポーツ観戦遠征の旅、なんだけど「近道をしよう」というフラグが立った瞬間、じわじわと彼らに恐怖が迫り来る。
ただし、この時点では見ている側もなんとなくしか先が想像できないのだけど「近道」と言うワードが出た時は大体展開が決まるよねって言う。
そこからは比較的早く話が進むので、見ていて特にだれることもなかった。
あと、この映画は全体的に「不穏な空気」と明るい色合いの不気味さがあるんだけど、海外のホラー映画は登場人物が勇ましく戦ってくれるので激アツ展開になったりする。
個人的には、冒頭でギクシャクしていた主人公の金髪美女カーリーと、双子の兄である強面イケメンのニックが合流してからは、ほとんど一人で応援上映をしていた。
これがプリキュアを応援する女児なら微笑ましいのかもしれないが、感情移入して防衛本能に駆られた私は「もう一発!弱い!狙いどころはそこじゃない!」という鬼気迫る表情で応援をしていた。

ところで、蝋人形の館を見終えて改めて感じたのは「さわやかな景色の中に不安要素を少し残す大切さ」である。これがあるかないかで余韻が全然違うんだ…。昨夜、ポゼッションを見た時も感じたけど、解決したと見せかけて「なんでもないようなことや人」を伏線上に立たせ、回収するポイントも非常に大事なのだ。
おかげで私は見終わった後ニコニコしたし、この映画を見終わった人が最後にどう感じたかもとても気になった。

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