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五島市の観光統計を読んで思った。アフターコロナの取り組みはワーケーションと冬対策かも

令和2年版の観光白書が6/16に報告されました。
それに先立ち、5/29に五島市の観光統計も報告されています。せっかく五島に住んだので、国の白書と合わせて読んでみました。

五島市の入込観光客数は過去最高を記録!

入込客数は252,657人(前年 240,131 人)と推計され、前年比12,526人(5.2%)の増となった。昨年に続き、2年連続で過去最高を記録した。

その効果として3つの要因が挙げられている。
① 世界遺産登録効果
・「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の世界遺産登録(登録:平成30年7月)
・令和元年は、テレビ・ラジオ74番組(再放送含む)、29の雑誌などで五島市が取
り上げられた。「世界遺産の島」に加え、「人気の移住先」、「グルメ・体験」などの魅力が広く発信され、知名度向上に繋がった。
・春期(4月~6月)の観光入込客は前年比20%以上の増加となった。
・ゴールデンウィークは10連休であり、国内全体で旅行者が多くなっていた。

② 修学旅行生増
体験民泊を中心に、ここ数年、修学旅行生が順調に増加している。
令和元年は前年と比較し1,209人増加し初の5,000人台を記録した。

③ 有人国境離島法(滞在型観光促進事業)の効果
交付金を活用した「滞在型観光促進事業」の旅行会社の委託や旅行者の滞在を延ばすことを目的に取組んできた、滞在プラン造成、企画乗船券、情報発信などの効果

季節別観光客の状況と課題
+12,526 人の増加人数中、春期(4~6 月)+11,511 人と大幅増、夏期(7~9 月) 、秋期(10~12 月)では4000人強のマイナス
GW効果はよかったけど、年間で見るとそれ以外はマイナスに近い。

航空路
定期航空路線による入込客数は前年比 4,527 人の増加
▶福岡線:35,851 人(前年比△217 人)▶長崎線:19,616 人(前年比+4,744 人)
福岡からの旅行者は減っている模様。JRで長崎→長崎線というのは長崎空港立地上あまり考えられない気がするので、どういうことだろうか。もともとフェリーが8割、航空路2割なのも飛行機メインで使っている身としては以外だった。長崎市の人が旅行に来てるのだろうか。
そもそもの国内旅行のメインターゲットがわかんなくなってきてしまった。

アフターコロナの観光に向けてはワーケーションと冬対策

過去最高を記録したのはとても素晴らしい。インバウンドの数はもともとが少ないとはいえ、特に韓国からの旅行控えにより、九州ブロック全体の外国人宿泊数は-6.6%となっており、その中で、香港、欧米の増加により24%増となったことは特によい点だと言える。

また、修学旅行数の増加は狙った取り組みによる獲得であり、地道ながらも大きな成果と思われる。
特に民泊家庭への宿泊となり、宿泊提供する高齢者と中心とした家庭への収入増にもなること、高齢者のやりがいとなること、将来的な再来訪や関係人口創出等の複数の点での効果が期待できそうでとてもよい。

しかしながら、内訳をつぶさにみていくと、世界遺産登録による取材+GWの10連休効果による上期の大きなプラス(約10%増)と下期のマイナスでの相殺による5.2%の増となっている。

GWの効果は全国と比べると特筆するほど多いわけではなく、次年度以降につながる増加理由とは言えないだけに、取り組みの検討が必要である。
世界遺産登録をベースに情報発信して、通常の旅行者を増やす取り組みは行いつつも、滞在日数にこだわっていくのが良い。現在の滞在日数平均は1.53泊。長期滞在施策で1週間滞在などを増やすことができれば、滞在日数の延長と、それに伴う観光消費額の増加が期待できるのではないだろうか。

(1)ワーケーションによる家族単位旅行者
通常の旅行者が大きく減るなかで、ウィズコロナ、アフターコロナの観光取り組みを進めていくように舵を切るチャンス。現在すでに取り組まれている滞在型観光コンテンツの充実と同時にワーケーションの受入に適したコンテンツや設備の提供も取り組むのがよい。

例えば、
・キッチン付きの民泊施設の増加
・平日の幼児の一時預かり及び児童の体験学習的な受入サービスの提供
・五島の食材を使ったケータリングサービス(漁師的なラフさのものとオシャレなものとの2方向があると望ましい)

(2)冬場の旅行者増に向けた対策
コロナだからという対策ではないのだけれど、冬季のマイナス幅の拡大は、平準化が更に遠のいたことでもあり、雇用を始めとする地域経済への影響も大きい。
海のリゾート的な観光視点ではオフシーズンではあるが、釣り客や美味しい魚を求める方にはオンシーズンなのが冬の五島。冬場は徹底的に釣り仕様として、盛り上げていく。さらには魚三昧なメニューや島をあげてのフェア開催も良いかもしれない。めっちゃ美味しいですもんね、五島の魚は。

ということで、厳しい状況の観光であるものの、できることから取り組んでいき、流行を追うのではなく、本質的な価値を磨いていけると五島にはまだまだチャンスがあるのではないだろうか。
個人的にもワーケーションできる施設を作りたい。古民家を数件束ねたりとか。いいのがあったら買いたいな。

<参考資料>
令和元年 五島市観光統計
https://www.city.goto.nagasaki.jp/s054/030/020/010/010/kankotoukei.pdf

令和2年版観光白書(概要版)
https://www.mlit.go.jp/kankocho/content/001348279.pdf


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