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検査結果と生存率

先生が穏やかに「急性骨髄性白血病」と告げ、今の私の血液の状態を丁寧に説明してくれる。

白血球の芽球のほぼ100%ががん化したものであること、血液のがんにステージはないが、抗がん剤が効くか効かないかという考え方であること、今後の治療についてなど。

ひととおり説明を聞き終えたあたりで、こちらからの質問を待つような間があった。

「この病気はどれくらいの割合で完治しているのですか」

「20%から30%です。それ以外の方は亡くなっている病気です」

全身から力が抜け落ち、手に力がはいらない。ぬれた砂がゆっくり崩れ落ちていくような感覚がやまない。まるで、舞台の照明がふいに消え暗転し困惑する自分を俯瞰しているかのようだ。なんと、涙が、出ない。

先生は丁寧に説明してくださった。私はこの数字をどう受け入れていいのかわからない。うちの下の子、今日から期末テストだし引退試合も近いし、弁当作って洗濯しないと。上の子もこれから大事な時期だし。子どもの成長を見ながら年をとっていく、両親が私や孫にしてくれたことを、私もしながら年をとっていくつもりなのに。それに私はまだ自分の人生で何もしていないのに。

とは言わなかったけど。何もかも体から抜け落ちていくようだった。

1週間以内に死ぬ可能性があると記された診断書に夫婦で署名した。


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