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「STOP MAKING SENSE」レストア版

思い出にしてしまうのには直近過ぎる出来事なのだけれど。

トーキングヘッズの伝説的なフィルムのレストア版が
東京で公開されたのは知っていた。
我が家では新聞をとっており、その紙面広告に載っていたからだ。
上映スケジュールは見事に都市部ばかり。
やっぱりね、田舎にはこういうものに興味ある人間は少ないと思われているんだよね、と広告を見て歯噛みしてたのは昨年の秋。
IMAXも近くにはないしなア・・・(ため息)
というあきらめの気持ちとともに。

大好きなバンドのフロントマンが、
自身の配信ライブを行う際に演出の参考にしたライブ映画だ。
ミュージックビデオでもなく、ライブ映像でもない。
トーキングヘッズは通ってきていなかったし、
特段興味があるバンドでもなかったけれど、
あの歴史的な配信ライブの参考にした映像ならば、
そしてそれを映画館のサウンドで味わえるなら
これはぜひとも観てみたいと思っていたのだ。

新聞広告を見てがっかりして、すっかりあきらめていたのだが、
先週、母と夫と三人で映画を見に行った際のこと。
ロビーに無造作に置いてある上映予定のチラシの中に、見つけた。
「STOP MAKING SENSE」の赤い文字を。
しかも、定時の仕事帰りに観に行けば、レイトショーの値段で観られる。
世間的な年度末の次期でもあり、
定時で上がれる日なんてあるわけもないのだが、
そこはワンオペの仕事をしている強みで、
朝から少しずつ前倒しで仕事をこなし、
何とか上映時間に映画館へ到着することが出来た。

観終わった後の感想は・・・

とても不思議な映画だった。
しかも、トーキングヘッズがビッグバンドの編成をしているなんて知らなかった。
曲を知らなかったせいもあるが、冒頭部分が一番良かったのは気のせいか?
途中、同じフレーズの繰り返しの曲に、
襲い掛かる睡魔と戦う部分もあり・・・
ちょっとの中だるみ感と、唐突に終わってしまった感があったけれど、
それでも、当時はすごく斬新であっただろうなア。
音楽も演出も。
この感じ、どこかで味わったことがあるなと思っていたら、
数年前の配信ライブの後の余韻に似ていたのだ。
興奮がいきなり静まり返って現実に引き戻される、この感じ。
そして、見ていて意外に思ったのは、曲によって振付が決まってたこと。
ベースからギターからコーラスから、みんなが振り付けで踊っている。
こんなに踊っても乱れない歌唱力にも、
この頃の洋楽の歌手ってこうだったよな、と懐かしく思ったり。
それにしても、フロントマンの先見性が際立っているような気がして、
メンバー間の仲を不安に思ってしまったが、
やはり意見の不一致で解散してしまっていた。

映画館の大音量のサウンドに包まれるこの感じ。
内容的にはどうあれ、観に行って良かった。
観に来ていたのが圧倒的におじさんだったのも良かったことのひとつ。

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