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クラファン挑戦中!【高校生の挑戦】          丹後の海で水中遺跡を見つけたい!  裏話 その1 

現在、クラウドファンディング挑戦中です!

いろいろと書こうかと思ってNOTE始めたんですが、なかなか進みませんでした。その理由がこれ。丹後の海の水中考古学プロジェクト。

以前にもチラッとお伝えしたかと思います…。
丹後に彗星の如く突如現れし高校生。なんと、水中考古学に目覚め、

「地元の町おこしも兼ねて水中遺跡を自分で探したい!」

と、SNSなどで投稿。私は、時々「水中考古学」の検索をしているので、たまたま彼女の投稿を見かけました。

これを最初に見たとき…「彼女をなんとか支援したい!」そう思い、すぐに連絡をとりました。高校生が水中遺跡を探査する…、それほど簡単ではないが、クラウドファンディングで資金を募ればなんとかなるのでは?とプロジェクトがスタートしました。

水中ドローンの会社、考古学者、水中探査の会社など、高校生の活動に賛同した様々なメンバーが加わり…ついに、3月4日にクラウドファンディングがスタートしました!

丹後の高校生あやちゃんもNOTEでいろいろと書いていますので、チェックしてください。


さて、ここでは、丹後水中考古学プロジェクトについて、数回にわけて書いていきたいと思っています。

  • 第1回目の今日は、あやちゃんとの出会い(?)と彼女について。

  • 第2回目は、メンバー紹介

  • 第3回目は、丹後の水中遺跡調査のポテンシャル

  • 第4回目は、水中遺跡探査方法について…
     ⇒⇒いまのところ、3回目までは、下書きかいているので、更新早いと思います。

きっかけ…それは、1冊の本との出会い。


プロジェクトについて、私が思うところを書いています。

先にも書きましたが、彼女が見つけた本。それは、小江先生の『水中考古学入門』という味気ない(?)が明快なタイトルの本。

さて、この本では、世界各地のこれまでの水中考古学研究の事例を紹介しており、知られざる交易の歴史の解明など世界史の理解に大きく貢献したことが書かれています。日本でも同じような成果が望めるが、まだまだ調査事例が少なく研究や遺跡整備体制が整っていない。そして、海や湖の上でも開発が進みつつあり、遺跡の破壊を防ぐには「日本でも水中遺跡の研究を進めることが喫緊の課題である」と書かれています。

 彼女は、それを読んで、「丹後の海にもきっとたくさんの水中遺跡があるはずだ」と思ったそうです。

 実は、小江先生の本は、40年以上も前に書かれたもの…彼女は、「今ならもっと研究が進んでいるはず」と思ったそうです。そして、いざ、自分で調べてみたら…40年以上も前の状態とほとんど何も変わっていないことを知ります。丹後には専門家もいない、丹後の水中遺跡は手つかずの状態にある。

丹後の海には、きっと地域の歴史を知る手掛かりがある。専門家が不在で遺跡の破戒も進んでいる。だったら、自分にも何かできるかもしれない…。

それが、このプロジェクトの始まりでした。

そして、彼女はSNSを使って呼びかけます。

その呼びかけに、私が答えて、プロジェクトの種が出来上がりま

キッカケを造った1冊の本、かなりセレクションが渋いです。おそらく、現在60代の研究者が読んで影響を受けた本だと思います。しかし、昔の本ではあっても、人の心を掴むことが出来ることを再確認させていただきました。良い本は、たとえ情報が古くとも、時代を超えることが出来る宝だと思います。

彼女の行動力に注目

 一昔前まで、インターネットで「水中考古学」と検索すると私の活動内容(ブログなど)が必ずトップに来ていました。
⇒今は、私の後輩である山舩さんが、頑張っていますね~。

水中考古学に関する情報が少ないので、昔から積極的な学生さんからの質問などが頻繁によせられていました。

「来年高3ですが、水中遺跡が学べる大学はありますか?」「水中考古学者になるには、どうしたらよいですか?」「読んでおくべき本を教えていただけますか?」などなど。

平均すると、ひと月に2~3人からそのような質問が来ていました。専門家に質問を投げかけてみただけでも、私は大拍手を送りたい気持ちです。

しかし、あやさんの投げかけは、少し違った観点からでした。

「自分で遺跡を探したい。方法を教えてください」

さらに、遺跡を守りたい気持ち、ふるさとの海を大切に思う心、自ら町おこしなどの形で生まれ育った町に恩返しをしたいという願い…。

私自身、そして、多くの人も同じでしょうが、「将来、こういうことをしたいけど、それに向けて何をしたら良いか?」ということを聞くと思うし、それが精いっぱいの質問です。あやさんの質問は、それを超えたモノでした。

あやさんのような質問をされたら、手を差し伸べないわけがない。

高校生だったころの自分を思い出してみると、こんな質問ができたのか…おそらく、できなかっただろうと思います。

彼女の呼びかけの意義

 そもそも、考古学の原点は、地域に根差したものです。自分の住んでいる場所の歴史を知りたい、故郷の歴史を多くの人に知って欲しい。現在の考古学は、専門家の先生方が調査をする、また、開発に先立つ行政による記録調査が連想されます。一般のイメージは、「普通の人には考古学など遠い存在」であるかと思います。

しかし、ほんの30-40年前(昭和ノスタルジーですが…)までは、一般市民が考古学に関わることが当たり前でした。どこの高校にも地域の歴史や考古学に詳しい先生がいて、歴史クラブがあって…。市民が参加する発掘調査や遺跡整備事業などが行われた時代がありました。つまり、地元の遺跡は、地元の人が調査して、地元に還元する。

 彼女の行動の原点は、そこにある様に思います。自分の身近な海では遺跡が発見されていない、それを見つけて守る必要がある。

つまり、水中考古学!高校生の挑戦!と聞くと、新しいことのように聞こえるけれども、実は、古き良き地元を大切にする考古学への回顧だと考えています。

丹後の海!

現状を打破する力

 現在、水中考古学について学ぶ機会が少なく、調査例も日本国内で年間1~2件しかないという現状です。閉塞感があることは否めません。若い人が集まらない… 先ほどの、質問をしてくれた学生さんなども、大学で考古学を学び、何人も真剣に水中考古学に取り組んできた学生を見てきましたが、結局、進学先もなければ将来の就職先も見えない。そのため、ほとんどの学生は、ほかの道に進んでいきます。

 これは、何とかしないといけない!そう思っていましたが、自分に何ができるんだろう。若い世代を育てつつ、現状を打破するには何ができるのか?

今までの私の経験上、日本社会全体がそうなのですが、新しいことに挑戦する心、また、若者に対しても少し冷たいきがします。どうせ成功しない、もっと経験を積んで議論を積んでから…。若者へのアドバイスも、「きちんとこれとこれを学んで実績をつけて戻ってここようね」、というタイプの支援が多いような気がします。何かを「一緒に実行する」と言う雰囲気は、考古学に限ったことではなく、あまりない気がします。私は、昔から積極的に若い世代をサポートしたいと思い、様々な支援をしてきました。

例えば、水中考古学についてもっと学びたい!という学生がいました。アメリカの大学に見学に行きたいけど、お金がないと。私は、その学生に部屋を貸し、滞在中のお世話をしたことなどもありました。

積極的に動いてくれる若い世代の登場を待っていたのかもしれません。そして、それが、現実のものとなった。あやさんの投げかけを見たとき、そう思いました。

 なんとしても、あやさんの夢をかなえるんだ! 

すぐに連絡を取り、話を進めていく。そうすると、どんどん話が大きくなる。次第に、あやさんの呼びかけに答えるチームが集まってきました。

さて、そのチームについては、次回、書きますので、お楽しみに!


おまけ…

Q 水中遺跡ってどれくらいあるの? 
A    たくさん、どこにでもある。ユネスコの統計では沈没船だけで世界で300万件。他、水没遺跡を含めるとその数倍はあるでしょう。日本の海の広さを考えると、日本だけで数十万件あるのは間違いないでしょう。

でも、日本では、発見するための行動をとっていない…

スコットランドの水中文化遺産地図~点々が水中遺跡の位置になります

水中遺跡が沢山あることがわかりますね。これらの9割は、開発に先立つ事前調査や漁師さんからの情報による遺跡がることが判明した場所を示しています。

日本の文化財(遺跡)地図~海の上に何もないのが良くわかります

さて、日本の場合。文化財・遺跡のデータベースですが…。はい、海の上には、全くと言って良いほど文化財がないことになっています。私の外国人の知人は、これはエラーなのか、水中の文化財は別のページにあるのか聞いてきました。

海洋状況表示システム・海のGIS

ただし、日本の周りに何もない、データも存在しないわけではありません。海上保安庁は、海底障害物(赤で表示)のある位置をある程度把握しています。こちら、海のGIS(海知る)です。海の中に何かがあるとわかっていても、多くは、不明・漁礁として記されています。

これらの点々のなかに、沈没船や水中遺跡が隠されている可能性もあります。また、漁師さんもたくさんの情報を持っています。

ARIUA アジア水中考古学研究所 水中文化遺産データベース

アジア水中考古学研究所では、日本各地の水中文化遺産を調べ、データベース化するプロジェクトを実施した。地域によりデータの質・量には差があるが、全国的に様々な情報を集めている。

日本海編はコチラからダウンロード

これから調査を進めていくには、漁師さんからの情報、海洋開発の有無、その他、様々な海の情報を集めていきます。

調査方法については、後ほど詳しく書きます!


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