『BRIDGE』

その７くらい

雷なれば

だれが君にタオルケットを巻き付けているのかと

胸のあたりがざわざわする

雷なれば

みんなでおなかの虫がいなくなると歌ったもので

大人もおなかをおさえておおさわぎ

それでもやっぱりしくしく汗をかきかき君は泣く

たいへんだ　泣く子が雷さまは大好物だ

バリバリイナズマは雷さまの手下泣くを子を探してる

誰かの一言に

大変だ　隠さなきゃ

君をタオルケットでぐるぐるまいてみる

これでだいじょうぶ　見つからない

まるで　さなぎ

みんなで息潜めてみる

誰かあの子を笑わせてよ

よし、それならアイスだ　誰かが立ち上がる

ぴくんとさなぎは頭を上げる

ダメだよ　いっちゃだめだよ　どこにもいっちゃいけない　

雷さまが怒ってる　

おこっちゃいないさ

罰せられるは外にいる大人たちさ

ほら　雨が降りだした　雨が降れば雷なんか怖くない

どしゃぶりの中飛び出すみんな

おいていかないで　と　ひんひん泣いてるさなぎ残して僕らは往く

さなぎ　君のためにアイスを買いに　角の菓子屋のアイスを買い占めろ

僕らが戻る頃には泣き疲れて
うとうとからの午睡してる君

僕らは足忍ばせ　昼のぬるい風呂に直行で

これが雷の日の決まりごと

君が目を覚ますまでって誰もが風呂上がり

大人の時間の始まる前にって

畳の上から静かに遠くなる雨空を眺めている