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チーム間のコンテキストを埋める、手法としての「ペアデザイン」


はじめに

はじめまして、ShippioでProduct Designerをしているながいし(@k1r_n)と申します。

突然ですが、みなさん「ペアデザイン」はご存知でしょうか?
既に色々なところで言及されているので既知の方も多いかと思います。

私はというと、知ってはいたもののこれまでに実践する機会はありませんでした。ですが、最近「ペアデザイン」的なことをやってみて、一般的に言われているメリット以外に「チーム間のコンテキストを手軽に埋める手法」としても一定機能するのでは?思う機会があったため、それについて書いてみたい思います。

ペアデザインとは

まずはあらためて「ペアデザイン」について。
最近目にしない日はないChatGPT氏に伺ってみましょう。

ペアデザインは、2人のデザイナーが協力して、デザインの問題を解決するために共同で作業する方法です。ペアプログラミングと似たような手法で、ペアデザインは、効率的なプロセスと優れた成果物を生み出すことが期待されています。

ペアデザインにおいて、2人のデザイナーは、同じコンピューターを使用し、同じデザインタスクに取り組みます。一人がアイデアを出し、もう一人がそれを補完するように協力し、デザインの細部に至るまで相互にフィードバックを交換しながら、目標に向かって進んでいきます。

ペアデザインによって、以下のようなメリットが期待されます。

- アイデアの品質向上:2人のデザイナーが協力することにより、より多様な視点やアイデアを持ち込むことができます。
- エラーの早期発見:2人のデザイナーが細部に至るまで相互にチェックし合うため、エラーや問題を早期に発見できます。
- スキル向上:2人のデザイナーが協力することで、相手のスキルやアプローチを学ぶことができます。

一方で、ペアデザインには以下のようなデメリットも存在します。

- コスト:2人のデザイナーが同じタスクに取り組むため、コストがかかることがあります。
- コミュニケーションの問題:2人のデザイナーが協力するため、うまくコミュニケーションをとる必要があります。コミュニケーションがスムーズにいかない場合は、効果的なペアデザインができない可能性があります。

ペアデザインは、チームワークや品質向上に役立つ手法であるため、多くの企業やデザインチームで採用されています。

https://chat.openai.com

ありがとうございます、大変丁寧に解説いただいたおかげで、なんかもう記事書く気が薄れてきましたね。

内容については私の認識も概ね同じで、一般的には「デザインの品質向上」や「アイデアの発散」などのメリットが多く語られている気がします。

Shippioのプロダクト開発と課題感

閑話休題、表題に挙げた「チーム間のコンテキストを埋める手法」としてのペアデザインについて触れていきたいと思います。

そのためにまず、Shippioのプロダクト開発とチーム構成についてお話しさせてください。

Shippioでは、現在複数のスクラムチームに分かれてプロダクト開発をしています。
各チームの構成としては、Product Manager、Product Designer、バックエンド・フロントエンドのEngineerとQAといった感じです。
チームはプロダクト単位というよりも、取り組むテーマ・ミッション単位で作られているため、ひとつプロダクトに対して、複数のチームが異なるコンテキストでプロダクト開発を行うことがあります。

この時、チーム間の連携がしっかりできていないと、ちょっとしたコンフリクトが発生したり、開発効率が下がってしまいます。

Shippioは現在、プロダクト開発に関わるメンバーが急速に増加しているフェーズでもあり、そういった意味でも「チーム間の連携」は課題感があるポイントでした。

チーム横断でペアデザインをやってみた

このような課題感を持っていた折に、たまたま他チームのデザイナーと一緒に作業する機会がありました。この時、明確に「ペアデザインをしよう」という話しをしていたわけではなかったのですが、一緒にディスカッションしながら進める中で結果的にペアデザイン的な進め方になり、そこで「チーム間のコンテキストを埋める手法としてもよいのでは?」という気づきを得ました。

具体的に、「チーム間のコンテキスト共有」という観点で私が良いと感じたポイントを3つあげてみます。

1. コンテキスト共有のハードルが下がる

これまで、チームで取り組んでいる内容を他チームに共有をしたり、逆に共有を受ける際、MTGを設定して、そのためのちょっとした資料を準備し、共有を行うといった流れが多かったように思います。

一方でペアデザイン的に進めれば、特段準備を必要とせず、一緒に進めていく中で「なぜこれに取り組んでいるのか」「どういう前提があるのか」といったコンテキストの共有が自然とできるように感じました。

時間をとって内容の共有をする・受けるという点では変わりはないのですが、コンテキスト共有のための準備がほぼ不要であるという点でハードルが下がりました。

また、共有のハードルが下がると、より早い段階で共有・相談することができ、検討後の手戻りが減ることも期待できます。

2. 具体的なモノをベースに会話ができるのでコミュニケーションが楽

また、ペアデザイン的に実施する際、基本的にFigmaの画面を見ながら会話をすることになります。

検討フェーズにもよりますが、「どういう目的で何が必要なのか」が明確になっていれば、テキストベースのドキュメントでディスカッションするよりも、目に見える具体的なUIイメージを作りながらディスカッションした方が、お互いの認識のブレが少なく効率的です。

また、あーでもないこーでもないと発話しながら一緒に手を動かす形になるので、なぜそのUIが良さそうなのかという細かいコンテキストも同時に共有しながらプロセスできるのも良いと感じました。

一方で、話しているうちに具体的なUIのディテールに引っ張られて、もっと抽象的な、そもそもの目的意識が薄れてしまわないように気をつける必要はあると感じました。(あとは会話して満足せずに、最低限ドキュメンテーションしておくのも大事)

3. プロダクトの整合性がとりやすくなる

これはあくまで副次的な効果かもしれませんが、一緒にデザインをしている中で、今取り組んでいるテーマに関してだけではなく、これから取り組む予定の「未来のテーマ」について話をすることがありました。

イメージとしては「今このテーマの文脈で検討してるこの画面だけど、こっちのチームでもちょっと先でこういう文脈で別途検討するかもなんですよね」みたいな感じです。(ふわっとしてますが)

個人的に、この「未来の話」が自然に発生することはとても良いポイントだと感じています。その理由は、少しでも未来に検討される内容を理解しておくことで長期的なプロダクトの整合性を取りやすくなるからです。

少し先の将来のことが見えているなら、一定そこに向かって拡張しやすい形にしておくことも重要です。(かといって、引っ張られすぎてその時の目的からブレるとよくないですが)中長期的に開発リソースを正しく有効に使える可能性が上がることは、どのチームにとってもメリットです。

また、未来で別の文脈での検討がされる際に、事前にコンテキストを共有できているのでディスカッションスムーズになることが期待できるというのも一つのメリットであると感じました。

まとめ

「チーム間のコンテキスト共有」という観点以外にも、ちょっとしたナレッジシェアができたり、自分にない視点を得られたり、何より一緒にやってるとなんか楽しいなどいろんなメリットが感じられました。

時間がかかるというデメリット?は確かにあるかもしれませんが、中長期的に見ればチーム間の(デザイナーの)頭の中が同期され、効率化が期待できるため、個人的にはそこまでコストだとは感じませんでした。

ただし、「ペアデザイン」はあくまで手法。たまたまペアデザインっぽくやってみたら良い点が見つかっただけで、つまるところはコミュニケーションが大事、だと思います。(結局ここに落ち着く)

いざ文字に起こしてみると、ある意味当たり前なことしか書いていないような気がしますが、まとめると、(いうまでもないが)チーム間での細かい共有・連携は大事、それを実現する手法のひとつとして「ペアデザイン」はあり、というのが私の結論になります。

デザイナー目線で書いてしまいましたが、抽象化するとデザイナー以外でも十分に成り立つ考え方だと思います。もし、チーム間でのコンテキスト共有に課題感を持っていて、悩んでいる方がいれば是非一度検討してもらえると嬉しいなと思います。

最後に

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