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おしぼりの心遣い

あれ?

差し出されたおしぼりに感じた違和感。

その答えがわからずにいるとマスターがひと言、
「おしぼりを冷やすようになったら夏。」
そういえば、前にこの店に来て渡されたおしぼりは温かかった。


違和感を覚えたのは、そのことを覚えていたから、というよりも広げて渡されたからだと思う。
熱いほどの熱を適度に冷ますために目の前で広げて渡されることはままある。おしぼりなんて添えの添え、あって当たり前の存在。手を拭ければそれでいい。

でも、店に入り手を拭くことで食事モードに気持ちが変わる。
そのための大切な小道具。


思い出したのは千利休が唱えたおもてなしの心、利休七測の一節、
「夏は涼しく、冬は暖かに」

温度ひとつで心は揺れる。覚えておこう。

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