枝豆の季節です
豆はようがす。いよいよ枝豆の季節になってきた。まだちょっと高いし、旬の頃に比べると味も香りも薄いけど、最初から最後まで食べたい派です。
最近は枝無し袋詰めタイプが幅を利かせて、こっちも楽だからつい日和っちゃう。でも少し安かったし、何だか沢山ついてそうな気がして、久々に枝付き枝豆を買った。テーブルに新聞紙を広げて、キッチンバサミでチョキチョキやってたら、ふと親父のことを思い出した。いつからそうなった記憶もないけど、我が家で枝豆を切るのは親父の役目だった。おふくろが夕飯の支度を始めると、再放送の水戸黄門や大岡越前を見ながらチョキチョキする。その様子は我が家の夏の風物詩…ってほどじゃないけど、よくある風景だった。
何故親父の役目になったかも定かではない。気が付くと、そうなっていただけの話。無口な人だったから別段嫌がる風もなく、ただ黙々とやっていた。東野英治郎や加藤剛の特徴的な声に混じって、おふくろの包丁の音と親父のハサミの音が響いていた。
そうだよ、昔は枝豆といえば枝付きに決まってた。僕だってやらされたことあるもの。綺麗にやったつもりで、意外と枝に残ってたりするもんだ。そんなことが親父にもあったかも知れない。その頃は平気で1把を食べちゃってたし。
枝豆は袋詰めが当たり前になり、僕が20年近く前に旅立った親父の後釜になることもなかった。そしておふくろの一周忌も終え、台所は僕の領分になったので、こうして枝豆を切ってても台所から包丁の音は聞こえないし、東野英治郎や加藤剛の声も聞こえない。SpotifyからJJケールの緩い歌声とギターが聞こえてくるだけ。
全て枝から落とした枝豆は意外と多かったけど、まだ膨らみが少ない。まぁ最盛期じゃないから仕方ない。茹で上げてザルでお湯を切ったら、豆の良い匂いがした。初夏の匂いだ。
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