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数学が苦手なあなたへ向けて

 理系数学の関門とも呼べる「数学Ⅲ」。それに挑戦しようとしている理系のあなたの勇気はとても素晴らしいものだと思います。数学Ⅰ・A、Ⅱ・Bとは少し違う世界にチャレンジすることは不安でしかないでしょう。挫折する人が多いと聞けばなおさらです。そこでそんな数学が苦手で不安なあなたにこれから数学に対する向き合い方を少しだけ変えるアドバイスを残します。これは文系で数学が苦手な人にもあてはまると思いますので興味があればぜひ読んでいって下さい。
 それではなぜ数学で、特に「数学Ⅲ」で挫折する人が多いのでしょうか。数学Ⅲがとても難しいから?いやそんなことではありません。挫折する人に多くあてはまるのが数学への向き合い方の問題です。大学入試で必要だからなのは頷けますが、理系科目全般的に好きでなければ、また面白いと思ってなければ続きません。ではそんな中でも嫌われやすい数学をどう見ていき、どう付き合っていくのか、それを考えていきましょう。
 まず数学で必要な力はなんでしょうか。計算力、ひらめき、才能? 計算力は確かに大事ですが、それ以前に「自分で考える力」が必要不可欠です。では自分で考える力に必要な能力は具体的にどういうものか。それは2つに分けられます。論理の力と逆算思考です。
 数学はみなさんが思うよりもずっとシンプルな学問です。苦手な人にとってはその「シンプルさ」ゆえに「難解」なイメージがあるのだと思います。しかし先ほど言った通り「自分で考える力」があれば見え方が変わります。ではそれに必要な「論理の力」と「逆算思考」について説明しましょう。
 まずは論理の力とはなにか?それを考えるのにまず思いつくのが国語ですよね。では国語での論理とは?そう言葉の並べ方。これを身に着けることで何の得があるのか?それは騙されなくなることと、相手に分かりやすく伝えることができるようになることが挙げられます。論理を知っていれば、論理的におかしいことに気づくことができるようになります。そして自分がその論理の力を活用することで、自分が伝えたいことを相手に伝えることができるようになります。(プレゼンとかで役立ちますよね。)そんな論理の力はどのように身に着けるのか。それが「国語力」を上げることです。では国語力を上げる代表といえば?そう新聞や本を読むことです。ではそれだけで十分か?いいえまだまだもう少しです。やはり実践が身に着けるには最も効果的だと思いませんか?そう次に必要なステップは「実際にプレゼンする」になります。
 みなさんは高校までに総合的な探究の時間があったと思います。(新しめの教育課程の人のみですが)その時間こそプレゼンを作って発表する絶好の「実践」の機会です。そこで発表する機会を重ねて、フィードバックをすることで自然と力がついていきます。この二つ(ほかにもあるとは思いますが)で一定の論理の力は身につくでしょう。もしいきなりプレゼンにチャレンジするのは厳しいという方であれば、Eテレでやっている「ロンリのちから」というテレビ番組が入門にはおすすめです。演劇のセリフを通して、論理の力をわかりやすく解説してくれているものなので、よければどうぞ見てみてください。論理とは何かが掴めると思います。
 次に「逆算思考」についてです。逆算思考は数学では必須の能力となります。逆算思考とは物事や現象の結果から過程を考えるという物事や現象の流れに逆らった考え方になります。これができていない、または苦手な人が多い印象があります。確かに物事を逆から考えるというのは少し癖があり、感覚がつかみづらいのですが、これを乗り越えることであなたの数学力は一段階上へ飛躍するのでぜひここも読んでいって下さい。そこで逆算思考を身に着けるにはなにが必要なのか?それははっきり言って「慣れること」だけです。考え方を身に着けるためには、何回も繰り返して体や頭にしみこませなければなりません。ですがみなさんは数学は苦手で、ましてや嫌いな人も多いかもしれません。そんなみなさんに数学をやって慣れなさいとは言えません。そんな中で逆算思考を身に着けるためにニュース、インターネットこの二つを活用しましょう。ニュースやインターネットの記事を見るとき、みなさんはしっかり全部内容を見ますか?見出しだけ、頭数文だけなど全部しっかり見ることは少ないかもしれません。そこでまず記事の見出しを見ましょう。そして想像してください。どうしてそれが起こったのか?数秒想像してから記事を読んでみてください。すると記事に対しての面白さが少し変わるのではないでしょうか?それはあなたが自分で考えたからにほかなりません。インターネットで調べ物をするときも同様です。調べる前に考える。これを徹底すると「自分で考える癖」が付きます。これがとても大事なのです。そして物事へ「なぜ?」の気持ちを向けて考えること、これが逆算思考の入り口になります。ゴールを見て、道を逆にたどるように思考する。この感覚が身になってわかるのではないでしょうか。
 こうして二つの力が身について満足はできません。次はそれを数学へ向けてみましょう。逆算思考を用いて求めるものから、それに必要なものを割り出し、段階的に求めていく。そして問題の答えをもとめる。というルートを作ることができたら、つぎはその記述、説明のフェーズに移ります。そこで登場するのが論理の力。矛盾がなくかつ相手に伝わるような説明を書き、ひとつひとつの計算をつなげていくことで、答案の完成です。もちろん基礎の力や知識や公式への理解(使い方)は必要になりますが、問題に対しての考え方は先ほどの二つの力で完成してしまうのです。
 またこの二つの力は社会生活でも非常に役に立ちます。論理の力は書類作成やプレゼンでいやというほど必要になります。それに逆算思考はスケジュール調整に使います。スケジュール調整で必要なのは締め切りから「逆算」することですよね?タスクを効率的にこなすために逆算思考は切っても切れない存在です。またフィードバックには逆算思考がついて回ります。原因を探るという操作は結果から逆に考えるので逆算思考の力があれば自然にこなすことができ、フィードバックをすることで次に反省してつなげていくことができるようになります。
 ここまで話してきたように数学を考えるのに必要な能力は意外と習慣や努力で身につくことが多いです。そう数学は要領でやるのではなく、論理の力と逆算思考で正しく考えて答えを導くことが最も重要なのです。この二つの力があれば、あなたの数学の勉強効率はとても上がります。この二つさえ身に着けてしまえば、あとはパターンや知識の蓄積をするだけでおのずと解けるようになります。数学は単純な学問ですので、基本的な考え方を理解をすればあとは演習を積み立てていくだけで完成していきます。数学の作問者が問いたいことはとてもシンプル。あなたに数学の知識と考え方が身についているかどうか、それを使えるまで理解しているのかということなのです。
 最後に論理の力と逆算思考は数学の得意不得意にかかわらず、日常でも必要な力であり、ありとあらゆるところで求められる能力だと思います。長文で読むのが大変だったでしょうが、この文章を読んでみて数学へのイメージが少しは変わったと思います。数学はシンプルで奥深い学問です。最初はできないことが多く、感覚を掴むまでは長い時間と演習量が必要になります。ですが、感覚さえ掴むことができればどんどん面白くなっていく学問でもあります。数学はあなたの敵ではありません。必死に苦手な数学にチャレンジする素晴らしいあなたにこの言葉を残します。
 「継続は力なり。」
読んでいただきありがとうございました。


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