見出し画像

Le 4 - 10 juin 2019 Berlin #6

ベルリン滞在6日目。
フェスティバルも最終日で、私の先生もコンペティションの審査員なので、
16:00からのプライベートレッスンの後に会場に向かうのだそうだ。

毎回言われるのは、重心が移動する感覚を、
次の動きへの最後の最後の瞬間まで楽しみ、味わうこと。
自分の重さを感じて床に溶けるように床を押すこと。
重心を落とすことで上半身のやわらかさを使える。

たった4日間、合計で6時間のレッスンだったけれど、
この最終日の最後の5分くらいで、体の中か全て繋がった。
何に注意を払うとか気にすることなく、空を飛んでいるみたいだった。
ちゃんと床の上に足が乗っている上で、相手と繋がっていられる自由。

初めて自分を操ることを無意識の中で、できていることを味わっていたら、
突発的に涙が出てきて止まらなくなった。
先生は驚いて、レッスンでの指摘が厳しかったのかと狼狽えながら、
レッスンを中断して私が落ち着くまで待っていてくれた。

私はこの時に、今までどの人にも言わなかった、
旅に出た理由と旅の終わった後の不安の詳細を、全部話した。

自分が理想とする踊りに届いた瞬間、自分の内側の正も負も全部露呈する。
本当に驚くほどに動きが洗練されるほど、心の中が表面に出てくる。
でも、そんなタンゴを踊ることができたのは、やっぱりこの先生だからだろう。
私はこの最終日のレッスンを一生忘れない。

画像1

鏡越しの空間。

レッスンの後、先生と別れて、一旦部屋に戻ってノートに書き留めた後、
翌日の出発に向けて、少しずつパッキングとか食材を使い切る調理とか
ペットボトルをスーパーの回収箱に入れてデポジットをもらうとかした後、
身支度して出かけた最後の夜。

画像2

21:00からのコンペティション。
ちなみに前列の左側にいる黒のパーカー姿の審査員が私の先生です。
レッスンは17:30に終わったのに着替える時間がなかったのかなあ…?
審査員なのにパーカー… 他の審査員は、もっとちゃんとしています。

優勝したMirella y Carlosのタンゴとワルツ。
この時から私も彼らの大ファンになりました。

画像3

気のせいかもしれませんが、
ベルリンのミロンガでは赤い照明でのミロンガが多いかもしれないです。

海外のミロンガで、カベセオだけで次々全く知らない人とコンタクトを取って
フロアに出て踊るなんてことは今となっては、もう夢みたいな話で、
もう次にそんなことができるのはいつになるんだろうと、
考えるだけで、果てしなく気が遠くなることに背いて、
今は、人を死なせないようにしながら、どのようにタンゴを踊り続けていくのか、
この写真を見ながら、やるせなく、それでも考える。

この翌日はベルリンからパリへ移動。
旅の終わるが近づいています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?