初詣・・・の付き添い
「初詣に行きたい」
と夫が言い、毎年言っている近所の神社に行った。
50mほどの参道を突き抜けた道路まで人が行列しており、途中に立っている厄年や八方の看板をじーーーっと真剣に見ている参拝客を見ると、
「どこが無宗教だよ…」
と夫を含めて思う光景だった。本当は日本人も神様を心底信じているんだろう。私もかつてはそうだった。
今私はクリスチャンになったので、もう長いこと神社や寺で手を合わせることをしていない。だから最近は観光と思ってこんな時は訪ねることにしている。
クリスチャンだからと言って他者を攻撃する理由になってはいけないのだ。むしろ祝福を与えなければいけないのがクリスチャンであることの良さであり厳しさと言える。報復なんてもってのほかなことで、信仰の違いが人を憎む理由にはなっていけない。
そんなこんなでおみくじを引いて楽しむ夫子供にくっついて回っていると、ふと例年と違う光景が目に入る。
その先には、なぜか境内に最も似つかわしくないケバブ屋の屋台が出ていた。いつもはたこ焼きと大判焼きしかいないのだが、なぜか今年はそれにケバブ屋がいたのだ。
休憩用のベンチがすいていて、ちょうど腹が減った私は早速ケバブを注文し、ベンチでむしゃむしゃと食んだ。
夫と子供は「たこ焼きを買ってくる」と去った。
ケバブ屋の店主2人は、見るからに中東か欧米らしい顔つきの男性だった。
「ケバブおいしいね~」
と話しかけてみると、思いもかけず話が弾む。
彼らはトルコ人だそうで、お正月はいろいろな神社を回っているそう。
この神社に来るのも「ことし はじめて」だそうだ。
こういう一期一会は観光として最高の初詣だなぁ。
トルコと聞いてピンときた私は、
「ゴーン知ってる?」
と興味本位で聞く。
「しらない」
「えっ!カルロス・ゴーンだよ。日産の社長だった人」
「しらない」
「そうなの!?外国だと発音が違うのかなぁ」
連日メディアを騒がせるカルロス・ゴーンなど本国トルコのケバブ屋のおやじの耳など届かないのか。
1人の男性はまじめそうにケバブを焼いていたが、もう1人はタバコを吸いながらコーヒーを飲んでいる完全な関西系のオヤジであった。
「あのさ、何教?私はキリスト教なんだ」
「イスラム教だよ、彼(ケバブ焼いてるほう)はキリスト教」
「イスラム教ってお正月何するの?」
「何にもしないよ、ケバブ売ってるだけ、わはは」
「代々木にモスクがあるよね」
「あるね、でも行ったことない」
「そっか、じゃあお祈りだけね」
「お祈りもしない、何もしない、がはは」
・・・やっぱ、そんなもんなのかな。
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