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夢をかなえるゾウ

※ 本の感想および内容が含まれます。
 これから読もうとしている方はご注意ください。



「で、覚悟でけてる?」
突如、目の前に現れた自称 神さまの不可解な生き物相手に、わたしだったらどう反応するのだろうか。

先日「夢をかなえるゾウ」を読んだ。
象の神さまガネーシャが、うだつの上がらない主人公相手に、巧みな関西弁で人生を解きつつ課題を与えて導いていくというストーリー。
出される課題はとにかくシンプル、というか地味で、ぶっちゃけどこかの自己啓発本などで聞いたことがあるなぁというものばかりだ。

例えば課題の1つに「自分が一番得意なことを人に聞く」というのがあり、きちんと実践してみた。恥ずかしさを胸に、勇気を出して気心のしれた友人数人にLINEを送る。(しかも、今気づいたのだが、一番得意、ではなくて、単純に得意なことを聞いてしまった・・みんなごめん)すると、思いがけずあっという間に皆から返信が届いた。そして内容を見て、おいおいと声をあげて泣きそうになってしまった。こんなに褒められていいの、わたし?

普段、褒められることって少ないんだなぁと改めて思う。みんな、誰かの長所に気づいても「すごいな」と心のなかで思うだけで、あまり口に出したりはしないもの。特に内面的な部分はそうなりやすい。

答えてくれた友人のひとりからは、面白い考察ももらった。
”出会ったばかりなら、もっと表面的なところに目が行くけど、付き合いが長い分、内面とか過程を踏まえた長所が見つかるね”
あるいは、こんな感想もあった。
”なんだかshiori愛でいっぱいな感じ”
わたしも逆に質問を投げかけさせてもらった友人たちの得意なところや長所、尊敬するところを考えてみたのだが、改めて彼女たちと出会えたことに感謝したし、皆への愛情が深まるのをひしひしと感じた。

ガネーシャからの課題には、こんなものもある。
「誰か一人のいいところを見つけてホメる」
これは、先の課題のあとに出されるもので、たしかに人から得意だと思われていることを直接伝えられる、つまり褒められたあとは、他の人を褒めたいという気持ちに自然になるもの。実は、順序もかなり考えられているのだ(さすが神さま)。

この課題を出すときのガネーシャ節がまた秀逸だった。
「呼吸レベルでやれや!二酸化炭素吐くのと同じくらいナチュラルにホメ言葉言えや!」
なんて無茶な・・と思いつつ、そのくらい自然と優しい言葉がついて出たら自分も気持ちがいいだろうと想像がつく。

堅い文面の自己啓発本のなかで「周囲の人を褒める」と書かれていると、なんだかすごく考えに考え抜いた褒め言葉を伝えなくてはと緊張してしまう。しかし、ガネーシャの巧みな関西弁と、筋が通っているのかいないのか分からない論理で説かれると違ってくる。不思議と「なんだかできそうだし、やってみるか」という気持ちになるのだ。

夢をかなえるゾウは第4弾が先日発売されたばかり。夏休みの課題図書の気分で、2〜4弾も読みたいなと思っている。


2020.8.15   shiori

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