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私が敬愛する「自分の仕事をまっとうする人」~谷口雄也の物語をしようと思う~

プロ野球選手の谷口雄也が好きだ。

おそらく野球を見ない人からしたら「誰?」という人が大半。
プロ野球を知っている人にも半数くらいには「誰?」と言われる。
プロ野球ファンには「ミーハー」だと思われがち。

いずれも仕方のない反応だと思う。

野球を見ない人でも知っている選手といえば、大谷翔平やイチロー、山田哲人や坂本勇人など、活躍していて頻繁に紹介される一部の選手だろう。

比べて彼の成績は「頑張ってはいるけれど、1軍定着は難しい」状況。
1軍と2軍を行き来している状態で、1軍でも毎試合出場できるわけではないのでたとえ野球好きの人に「知らない」と言われても「まあそうよね~」と思う。

谷口成績

参考:http://npb.jp/bis/players/41045133.html

そして谷口雄也は 「かわいすぎるスラッガー」として野球界で名を馳せており、そのルックスから女性ファンからの人気も高い。
それが彼を好きだと言うとプロ野球ファンから「ミーハー」と言われる所以だ。

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※2軍マスコットキャラクター、カビーとの2ショット。
 どちらがマスコットなのか分からないくらい甘いマスク。

そんな反応に対して「仕方のないこと」と思いながらも、もっと谷口雄也を分かってほしいという押し付けがましい気持ちが生まれることがしばしばある。

今回はそんな谷口雄也について、興味がない人にも「へえ~そんな選手いるのね」と思ってもらえるようなエピソードを交えてお伝えしたい。

谷口雄也は1992年生まれで、私よりもひとつ年上なため「谷口雄也さん」や「谷口さん」「雄也さん」と表記するか悩んだが、やはり野球選手としての敬意を込めてフルネーム呼び捨ての「谷口雄也」と表記することにした。

谷口雄也を知ったきっかけはミーハー心

谷口雄也がどんな人物かを伝えるにあたって必要なので、そもそも私が彼を好きになったきっかけの話をしたいと思う。

野球ファンの中で谷口雄也好きは「ミーハー」だと言われると書いたが、私自身も谷口雄也を好きになったのはミーハー心がきっかけだった。

2015年、野球を嗜み始めた頃に「ウーマンズフェスタ」の試合を観に行き、女性来場者特典として西川遥輝・谷口雄也のミニフォトブックをもらった。
参考:https://sp.fighters.co.jp/news/detail/5364.html

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一緒に行った子はミニフォトブックに封入されていたもうひとりのイケメン選手、西川遥輝が好きで「しーたん(私のあだ名)は、谷口のこと好きになると思う」と言われた。

そう言われて彼を目で追っかけているうちに、本当に谷口雄也を好きになった。
我ながら実に単純で、私が明石家さんまなら「そんなわけあるかいな~!…ホンマや!」とノリツッコミをするくらいの出来事だ。

ミニフォトブックに封入されていたのが谷口雄也でなかったら、私は他の選手を推していたのかどうかは今となっては分からないが、谷口雄也を好きになるきっかけをつくってくれた球団の企画・マーケティング関係者の方には感謝している。

もともと好きになった要因は
・童顔なルックスに対してアンバランスなたくましい身体つき
・イメージカラーが緑(私自身も緑が好きなので)
・登場曲がジャニーズ(V6のサンダーバード)で気分がアガる
・応援歌のメロディと歌詞が特に良い
というもので、当時は試合での活躍ぶりよりもアイドル的な感覚で彼を見ていた節が強いと思う。

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谷口雄也のパネルや顔写真の展示があると「おやおや~👼」と思いながら、横に並んで撮影をしたものだ。
(ちなみにこの写真は当時付き合っていた人に撮影してもらった。
彼は自分の彼女がパネルと必死に撮影しようとしているのをどう見ていたのだろうか。)

女性向けマーケティング戦略に組み込まれる谷口雄也へのリスペクトのめばえ

私は基本的に自分が好きなものはまわりがなんと言おうが関係ないタイプだ。
試合にあまり出場できなかろうが、打てなかろうが全身全霊で応援する。
だって推しだから!!!!!←

ただ、あるとき谷口雄也に関するニュースのコメント欄に「野球選手のくせにチヤホヤされるようなマネばっかりしやがって…!そんな暇あるなら練習しろよ」といった内容が書かれていてモヤッとした。

今思えばただの妬み嫉みな投稿でしかないが、私はこの心ない投稿を読みひどく落ち込んだ。
こんなこと言われるのは彼の活躍に値する働きが世に広まっていないからだと感じ「彼には早く戦力として活躍できるようになって、見返してほしい」という思いが強まった。

しかし、シーズン終わりに球団が投稿したInstagramの動画によって私の思いは覆されることになる。

カフェ店員に扮した谷口雄也がキャラメルマキアートを運んできて「メリー・クリスマス」と微笑む。
ただの女性ファン向け眼福動画だ。

私は困惑した。
そりゃもともと自分はアイドル的な感覚で彼を応援していたのもあって、こういう手の動画は大好物だ。
公式さんありがとう、って声を大にして叫びたい。

でも彼はアイドルじゃなくてプロ野球選手だ。
なんで一体こんなマネを…?
また「野球選手のくせに」って言われちゃうよ…?

動画の投稿から数日間、いろいろ考えた末に私の中で出た結論は、「谷口雄也自身が球団の女性向けマーケティングに協力する姿勢を取った」のではないか?ということだ。

もちろん野球選手の本業として練習や試合はしっかりとこなす。
それに加えて自分のキャラを活かしてチーム、球団のマーケティングにも寄与していく。
これが彼なりの仕事をまっとうする姿なのではないだろうか。

もちろんこれを理解できない古参ファンやターゲットではない男性ファンはいるわけで、谷口雄也は彼らから叩かれるかもしれない。
そんなリスクを取ってまで、女性向けのマーケティングに協力する谷口雄也へのとんでもないリスペクト精神が(勝手に)めばえた。

そこから私は野球で活躍する姿はもちろん「女性ファン向けマーケティング」の施策の一環として谷口雄也が使われている姿を見ても、喜んで享受できるようになった。

今は「チヤホヤされるようなマネばかりしている」という投稿を見ても「あなたはターゲットじゃないから分からないのね…」という感情しか抱かない。

※プロ野球でのイケメンによるマーケティングについては最所さん(@qzqrnl)がnoteで以前書かれているのでこちらを!
谷口雄也についてもしっかりガッツリ触れられていて大好きなnoteだ。

谷口雄也が愛される3つのポイント

…と、上記は私の憶測(というより妄想に近い)も含まれた谷口雄也の話をしてきた。
昔から培ってきた妄想力で楽しくヲタクをしてきたのでこういうのは朝飯前だが、全く理解を得られなそうなので書いたことを反省している。

ここからは、谷口雄也の魅力を事実に基づいて紹介したい。

①野球への取り組み方が素晴らしい

「1軍のピースになりたい」
ある年のオフシーズンに参加した谷口雄也のイベントで、彼がそう言っていた。

もしかしたらこれはプロ野球選手としては基本的なマインドセットなのかもしれないが、個人としての活躍よりもチームとしてのあり方を重視している感じがしてものすごく好きな言葉だ。

さらに谷口雄也の好きなところは、これをきちんと体現している部分だ。

公認野球規則で「次打者がネクストバッターズサークルにいなければならない」という決まりはないが、円滑な試合進行のために必要な最低限のマナー。公認野球規則5・04(b)で「打者は自分の打順がきたら、速やかにバッタースボックスに入って、打撃姿勢をとらなければならない」と明記されている。谷口は「チームのために誰かがやらないといけない」と言う。この日は交流戦前の最終戦。同じくベンチにいた1歳年下の新人・横尾に「(セ・リーグ主催の)交流戦になったらこういうこともあるからな」とプロの先輩として助言する姿もあった。
引用:https://www.sponichi.co.jp/baseball/news/2016/06/02/kiji/K20160602012705000.html

他にもベンチの片付けを率先してやっていたり、球場から出るときの一礼を欠かさない。
野球のプレー云々かんぬんの前に自分自身やチームの仲間が野球をしやすい環境をつくっていける彼の姿勢が素敵だと思う。

②チームメイトが野球をしやすい状態をつくるプロ

谷口雄也は環境だけではなく、チームの仲間がプレーしやすい雰囲気もつくり主力選手を支えている。
今はメジャーで活躍する元・チームメイト大谷翔平に関する記事にもよく谷口雄也の名前が出ていた。

また、外国人選手とも仲が良い。
特に2019年から千葉ロッテマリーンズに移籍したブランドン・レアードとのコンビのファンが多く、私もその姿に癒やされたものだ。

劇的な流れをつくったのは、「かわいすぎるスラッガー」谷口だ。6回に代打で登場し、同点の1号3ラン。「とにかく必死でした。必死!」。15年6月2日広島戦(マツダ)以来、通算2本目の代打弾で劣勢をはね返した。

レアードとは不思議な関係性がある。谷口が明かす。「レアードはマッサージをしてもらいたい時に、絶対に僕を指名するんですよ」。試合前だけでなく、試合中もベンチで目が合うと日本語で「オネガイシマス」。肩をほぐしたり、頭をポンポンたたいたりするが「意外と血の気が多い時もあるんです。だから、気持ちもほぐしてあげられたらなと」。強烈な個性を放つ仲良しコンビで、白星をたぐり寄せた。
引用:https://www.nikkansports.com/baseball/news/1649944.html

「1軍のピースになりたい」と言ったとき、続けて彼は「その日スタメンに選ばれた選手だけでなくベンチにいるメンバーも含めてピース。たとえ1打席でも、打席に立つことがなくても1軍のピースとして役割をまっとうしたい」と話していた。

試合に出れなくても試合をしている選手が最高のパフォーマンスを出せるよう働きかける谷口雄也はチームマネジメントが向いているんだろうなと思う。

③ファンに対して優しい

ファンに対して優しいのは「当たり前」ではない。
「ファンサービス」はあくまでもサービスだ。

決して義務ではないし実際ファンサービスをしない選手もいる中で、谷口雄也は1時間以上サインや写真撮影に応じてくれることもある。
特に子供やファンが連れているペットへのファンサービスの姿など、SNSに上がってくる姿は自分が受けたわけではなくても多幸感に溢れる。

試合終わりに汗を滴らせながらひとりひとりに丁寧な対応をしてくれる彼の姿を見ていると「1秒でも早く寮に戻って休んでほしい」と感じ、サインや写真をもらう列には並ばず彼の姿を見るに留めたこともあるほどだ。

谷口雄也3

北海道日本ハムファイターズ2軍球場の鎌ヶ谷スタジアムでは、選手の余裕があるときに限るがこのようにサインに応じてもらえたり、

谷口雄也2

写真撮影に応じてもらえたりする。(これはファンやめらんねえ)

ここからは完全に私の推測だが、谷口雄也はおそらくこれも彼にとっての仕事なのだと考えているのではないだろうか。
仕事と言ってしまえばドライに聞こえてしまうかもしれないが、ファンサービスが「彼なりの役割のまっとうの仕方」だと考えている節があるのではないか?と感じる。

ファンマーケティングにより、谷口雄也自身や球団、引いては野球への興味関心を高めるという仕事を自ら担っているような気がしてならない。
策士な考えをしているかどうか真意は定かではないが、そう考えてファンサービスをしているのだとしたら私はそこも含めてさらに好きが高まる。

リハビリ期間から復活までの道のりを超えて

北海道日本ハムファイターズが日本シリーズで優勝した2016年のオフシーズン、谷口雄也は右膝靱帯損傷で手術をした。
2017年は試合に出場できずにシーズンを終えている。
一番つらく悲しいのは現実に直面している本人なので、彼のことを思うと切ない気持ちになった。

でもこの2年間、彼の姿を見ると諦めている様子はみじんも感じられなかった。
むしろ体つきは一層たくましくなり、きついであろうトレーニングに日々励む様子には私自身も頑張らなければと思わされた。

そして2019年7月31日、谷口雄也は楽天戦でひな壇に上がった。
1軍のピースにしっかりハマった谷口雄也は、大切なチームメイトの思いを受けてヒーローになれたのだ。

「必要とされるポジションは絶対ある。(他の選手の)けが待ちではなくて、そこになんとか割って入りたい」

5月11日西武戦に先発で今季初出場すると、いきなり2安打。翌12日の同戦では1088日ぶりのアーチを放つも、以後スタメンから遠ざかり、登録抹消となった。7月10日ロッテ戦から再昇格し、先発出場で二塁打を1本放ったが、それ以降は途中出場4試合で4打数無安打。それだけに、この日の1本がうれしかった。「なんとか結果で応えられたというのと、(先発した清宮が2打席凡退で)やられていた悔しさもわかっていたので、何とか1本打ちたかった」と笑顔がはじけた。
参考:https://www.nikkansports.com/baseball/news/201907310000968.html

とはいえ2020年、谷口雄也は入団から10年目になる。

調査結果によると選手として10年在籍できるのは3~4割程度と言われている。
参考:https://insight.official-pacificleague.com/news/10444

プロ野球では、オフシーズンになると来季の戦力構想から外された場合は「戦力外通告」を言い渡される。
つまりクビということで、契約更新はない。

谷口雄也は、現在のポジション的に戦力外通告が来てもおかしくはないし、実際まだこれから発表されるであろう戦力外選手として彼の名前が出てこない保証はない。

それでも今日も彼は来シーズンに向けて日々を過ごしているのだろう。
野球にはもちろん本気だし、それ以外の野球にかかわることにも本気で取り組む。

今は谷口雄也が彼にしかできない仕事をまっとうする姿を1日でも長く見ていたい。
それが私の願いだ。

追記:谷口雄也が本出したってよ!

2020年4月18日、彼の半生を彼自身とチームメイトが語った本が出た。

悔しいことに開幕が遅れてしまったが、彼のこれまでと10年目の覚悟を感じられる良い本だ。
谷口雄也という選手に興味がある方は、ぜひともご一読いただきたい。(誰←)

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