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好きなおにぎりと、我が家の味。

「何のおにぎりが好き?」と色々な人に聞いて回っている。自分の中で、定番の質問のうちの一つになっているらしい。

鮭、梅、ツナ、こんぶ、おかか、たらこ、鳥五目。唐揚げという人もいた。一時期は悪魔のおにぎりなんていうものも話題になった。(天かすを入れるやつ)

職場で子ども達に聞いたとき「焼きおにぎり!」と答えた子がいた。私はその答えを聞いて「お母さんがひと手間を惜しまないんだなぁ。」と思った。焼きおにぎりは「握れば完成」じゃなくてそこから焼く工程がある。(もしかしたら冷凍おにぎりかもしれない。もしくは、ひと手間を惜しんで作らなくなる私がズボラすぎる可能性もあるけど。)

この間、自分でも久しぶりに焼きおにぎりを作ってみたら、美味しくてちょっと感動してしまった。ごま油としょうゆの焦げた香り、焼きたてのパリッとした食感。

一人暮らしのキッチンの貴重な火元をご飯にとられてしまうのは痛いので、しょっちゅうは作れない。(おかず優先。ご飯は炊飯器に任せる。なんならおかずも炊飯器で作ったりする。)おにぎりを焼いたからと言って、栄養素が増えるわけじゃない。それに、冷めると少し硬くなってしまうから作り置きもしにくい。

でも、たまにはこういう「省いても生きていけるひと手間をかける」のもいいな、と思った。


好きなおにぎりの具を聞くことに、意図はないと思っていた。もしかしたら、色々な人の家の中の様子をのぞきたいのかもしれない。その家独自のルールや、生活、料理なんかに宿る部分を、知りたい。

同じ理由で「おでんの具に何を入れるか」も色々な人に質問したことがある。ローカルルールがある料理はなかなか差が出てくるので楽しい。お雑煮や鍋の具についても話をしてみたい。

うちは、母が香川、父が神奈川出身なので、料理はミックスされていた。(祖母の家では、お雑煮にあんこ入りのおもちを入れたりする。これは香川県独自らしい。)

他にも「きなこのおにぎり」というのが当たり前にあった。三角形ではなく、小さめの俵形のおにぎりにきなこと塩をまんべんなくつけたおにぎり。

休日の朝や昼ご飯に作ってもらった記憶がある。私はそのきなこのおにぎりがすごく好きだった。香川の祖父母の家に遊びに行った際は、よく祖母がきなこのおにぎりを作ってくれた。

一度「うちでは、きなこのおにぎりがよく出ていた」と言うと「えー?」と驚かれた。「それって甘いの?おはぎみたいな感じ?」とか、人によっては「気持ちわるい」と言われた気がする。

食べてみるとわかるけれど、きなこと塩は合う。きなこの香ばしさに、ほんのりと塩味が効いていて優しい味がする。体調が悪いときでも、食べられる。

小さい頃はたくさん口に詰め込んで、きなこに口の水分を全部持っていかれて飲み込むのが大変だった。ちなみに、きなこのおにぎりを口に入れながらしゃべるともれなく、きなこをボフッと口から吹き出すことになってしまう。「口にものを入れてしゃべらないの」と注意をされた記憶がある。

どうやら、調べてみたらきなこのおにぎりは山口県の郷土料理みたいだった。私が知る限り、祖母の親戚は香川県に集まっているので、どこからどうやって来たのかはわからない。

祖母か誰かが山口県に遊びに行って美味しかったから取り入れたのか、それとももっと家系図を遡ればだれか山口県出身の人でもいたのだろうか。

「我が家の味」や料理の特徴は大人になってから初めて「あれはうちだけだったのかもしれない」と気づく。家の数だけ、当たり前の習慣がある。旅に行ったり、家に遊びに行ったりすると驚くことだらけ。だから、他の家の料理や習慣を聞いてみたい。

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