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要約 『デジタルで変わる子どもたち学習・言語能力の現在と未来』 著者 バトラー 後藤 裕子

デジタル・テクノロジーは子どもたちの可能性を大きく広げるだろう。しかし、デジタル・テクノロジーは諸刃の剣でもある。活かすかどうかは使い方次第なのだ。 62ページより

●はじめに

デジタル・テクノロジーが、人間の知的作業を代行しながら発達していく一方で、特に教育の面で、認知機能の低下を心配する人も多いと思います。

本書は、デジタル・テクノロジーが、現代の子どもたちの認知環境をどのように変えているのか、そして、著者の専門の言語発達を中心に、子ども達の学習環境におけるメリットやデメリットを紹介する一冊です。

デジタルの無い時代に戻ることはありませんし、子ども達に使うなと言っても無駄でしょう。著者はデジタル・テクノロジーと共存するために、メリット・デメリットを理解し、明確なビジョンを持つことが重要と言います。

●本文要約


1.デジタル世代の子どもたち


日本では、先進諸国に比べ、デジタル・テクノロジーの学校教育への導入が遅れているため、人工知能(AI)時代に生き残っていける能力を身につけていない若者が大量生産されているのではないか?と危惧されています。

しかし、そこで慌てて形だけデジタル化してもあまり意味はないどころか、認知機能の低下につながります。乳幼児の言語習得過程とデジタル・テクノロジーの特徴を考えると、子どもの認知機能の成長段階に合わせたデジタル・テクノロジーの導入ビジョンを持っておく必要があります。

まず、乳幼児が言語を習得するには、保育者や大人との相互的なコミュニケーションが重要なので、一方的に情報を送るだけのテレビ・動画視聴は言語習得の助けにはなりません。また、ある程度の読み書きができるようになっても、読解力が低い子どもの場合には、情報過多になる動画やデジタル物語は、読解力育成にはあまり役に立たないでしょう。

一方、デジタル・テクノロジーで多くの情報に触れられることの利点は多々あり、その時々の子どもの認知能力に合わせた与え方こそが重要になってきますので、親や保育者はメリットデメリットを理解し、ビジョンを作ることが大事です。

2.動画・テレビは乳幼児にどう影響するのか――?マルチメディアと言語習得


言語能力の格差が広がっていることが実証データに示されています。保育者と子どもとの言葉のやり取りが量、質ともに下がっていることが原因です。テレビやデジタルデバイスは子どもの注意力をひきつける一方で、言語の発達に必要な相互的なやり取りが無く、一方通行になりがちです。アメリカの調査研究では、言語面で恵まれていない家庭の子どもたちと、言語の刺激を受ける機会が豊かな家庭の子どもたちが耳にする単語の数には、幼稚園に上がるまでに早くも3200万語の開きが生じると確認されています。特に、脳の言語やは3歳までに完成されると言われているので、それまではあまりテレビやデジタルデバイスでの学習よりも保育者とのやり取りの時間を増やす方が望ましいと言われています。

3.デジタルと紙の違いは何か?マルチメディアと読解力

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