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要約『私たちはどう学んでいるのか 創発から見る認知の変化』 著者 鈴木 宏昭

●ベストフレーズ

私が本書で提供するのは創発というメガネである。そのメガネを通してみると、今までかけ続けた「学校教育」とか「品質管理」などのメガネでは見えなかったものが見えてくるはずである。 15ページより

●はじめに

本日の一冊は、教育学者で、日本認知科学会元会長の鈴木宏昭氏の『私たちはどう学んでいるのか 創発から見る認知の変化』です。

私たちが新しいことを学ぶとき、頭の中では一体何が行われているのでしょうか?「練習」「発達」「ひらめき」という、一見すると無関係に思える3つの要素を取り上げ、無意識下で行われているメカニズムを解説します。

お子さんの学びをより加速させたいと考える親は勉強してもらう前に読んでおけば、お子様の学びを加速させる方法や声掛けが分かるでしょう。

●本文要約

1.私たちは、学習に対する「誤った考え」を持っている。

・思考力を身につけるには努力が必要
・練習すれば、肩上がりにうまくなる
・ひらめきと努力は無関係
このような学習に対する誤った考えを持っていませんか?"

学校などの教育現場では、これまでのイメージから学習に対する間違った考え方や価値観が広まっています。本書では認知科学の視点から「創発」をキーワードに、学びの実態を科学的に明らかにします。

著者は、認知科学を研究領域とする大学教授です。40年近くに及ぶ研究成果がベースとなっており、科学的根拠に基づいた主張が論じられています。また、大学では教職課程を担当する学科に所属しているため、将来教師になる生徒たちに教えることもしています。学生たちとのエピソードは、どれも著者の主張を裏付ける説得力があります。

2.見ることのできない「能力」

記憶力・英語力・コミュニケーション力など、「力」を含んだ単語を私たちは日頃からよく耳にしています。当たり前ですが、こうした「能力」は実際に見たり聞いたり触ったり、直接知覚することはできません。見えないものを「能力」にたとえることで、私たちは抽象的な内容を理解しようとしています。そして「能力」という言葉の印象から、力は個人の中に備わっているものでいつでも発揮できる、基本的にいつでも同じように働くものだと思ってしまいますが、それは誤りです。
論理的思考力・数学的思考力を用いた研究結果では、思考力は文脈に応じて働いたり働かなかったりするものであることが示されています。問題の中のそれほど重要ではない情報に左右されて、賢くなったり愚かになったりするのが、私たち人間なのです。「能力」という言葉に含まれるイメージをそのまま使い続けることによって、いつでも発揮することができる(安定性)、個人の中に備わっている(内在性)といった、誤ったイメージが強まってしまう危険性があります。

3.「知識」は伝わらない

「人から教わってできるようになった」という経験が誰しもあると思います。そのため「知識は伝えることができる」と感じる人は多いはずです。しかし、残念ながらその考えは間違っています。

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4.意識化されない「上達」のプロセス
5.「育ち」はゆらいでいる
6.失敗の先にある「ひらめき」
7.「教育ごっこ」の危険性

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