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要約 『レジリエンス:人生の危機を乗り越えるための科学と10の処方箋』 著者 スティーブン・M・サウスウィック、デニス・S・チャーニー

●ベストフレーズ

一番速い必要も、最も強い必要もないのだ。大事なことは「ゴールすること」。つまり、自分自身の才能を育て最善の努力を尽くし、目的と成長とレジリエンスのある人生を生きることなのだ。 296ページより

●はじめに

本日の一冊は、精神科医でレジリエンス研究の第一人者スティーブン・M・サウスウィック氏とデニス・S・チャーニー氏の『レジリエンス:人生の危機を乗り越えるための科学と10の処方箋』です。

人生は平たんではなく、苦難や試練がつきものです。挫折や失敗は成長のチャンスでもあります。子どもが人生で成功するための能力として非認知能力が注目されていますが、その中の1つがレジリエンスと呼ばれています。

本書は、人は逆境を乗り越える潜在能力を備えていること、そしてこの能力は、心がけや鍛え方次第で、開発し、伸ばしていけることを教えてくれます。子供たちに、未来を切り拓く力を養ってほしいと願う親はもちろん、豊かで幸せな人生を生きたいと願う全ての人に多くの発見と学びがあるでしょう。

●本文要約

1.人はトラウマとなる挫折を乗り越えて成長する

人が生きていく上で、少なくとも1回はトラウマ的な出来事に遭遇すると言われています。しかし、現代の風潮は困難に立ち向かうために必要な精神力を育てる方に向かわず、過度な個人主義の広がりにより、不安感ばかりが増長しています。

ストレスをうまく活かし、逆境を乗り越えることができれば、人間的な成長につなげることができます。そのために必要な回復力(レジリエンス)をいかに育てられるかが、成功の鍵を握っています。個人差はあれ、この能力は誰もが持っているもので、レジリエントな人のやり方を学び実践することで、高めていくことができます。

最新の神経科学の研究から、脳は筋肉のように可塑性が高い臓器で、人は使い方によって自身の脳の構造や機能を変えられることが明らかになりました。つまり、能力は予め限界が決まっているのではなく、活動次第で伸ばすことができるのです。そう考えると、逆境から立ち直る力も強化することができ、以前より賢く強くなるためにストレスを活用できることが分かります。本書は、高度なレジリエンスを発揮している人々へのインタビューと科学的知見の両方を分析し、ストレスに対応するために特に重要と考えられる10の要素に焦点を当てました。過酷な体験をした人々の声は真に迫り、人生を生き抜くために本当に必要な力について理解を深めることができるでしょう。

2.レジリエンスとは?

多くの人が人生で数回のトラウマを体験します。たとえ同じ出来事に遭遇したとしても全く同じ反応が出る人はいません。PTSDやうつ病の症状に長く苦しむ人もいれば、トラウマの影響を比較的受けずに日常生活を送る人もいます。トラウマ的な状況に耐え、成功するために重要なのは、学歴や経歴よりも、レジリエンスを発揮できるかどうかにかかっています。レジリエンスは一様ではなく、人生の時期によって違いがあり、逆境の種類や環境によっても変わります。

レジリエントな人々が強いストレスに直面した時にとる対処法には共通点があること、さらに分析すると、その背景に10のレジリエンス要因が存在することが研究の結果分かりました。つまり、誰でも、各要因を実践し、訓練することで、逆境への適応能力を高めることができるようになるのです。

レジリエンス要因のうち、ストレス反応として重要なのは、
 現実的で楽観的な視点を持つ、
 恐怖に向き合う、
 社会的サポートを求める、
 模範となる人を手本に行動する、
 道徳的良心に従う、
 スピリチュアルに目覚める
などが挙げられます。

さらに、
 健康を維持するために運動を実践し、
 精神や感情を鍛え、
 思考を柔軟にし、
 逆境の中に意味を探し、
 前向きに問題を解決しようとする
ことで、状況を受け入れ、人間的な成長へとつなげることが可能になります。

レジリエンスを高めるには、継続的な努力が欠かせません。自分の価値観に合うレジリエンス要因から始め、一貫性のある練習を続けることが大切です。段階的に他の要因の練習を追加することで、相乗的に力を伸ばすことができます。


3.レジリエンスの原動力となる「現実的な楽観主義」

楽観主義はレジリエンスを発揮する原動力であり、他のレジリエンスの要因を補強するエネルギーにもなる。楽観的であることは逆境に対して積極的、かつ想像的に立ち向かおうとする姿勢を後押しする。 45ページより

人がネガティブな感情を持つと、危険から身を守るための準備状態に入り、自然と視野が狭まりますが、ポジティブな感情は、興奮を減らし、視野や思考、行動の範囲を広げます。重要なのは、

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