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植物が刺激する

4月前半のGOOD AT TOKYOのテーマは「花と植物のある暮らし」。今回このテーマを決めたippeiくんのInstagramは、きれいな花やおしゃれな植物が並んでいてとても素敵だ。

整理整頓が苦手な私は、どうしても家の中で花を飾る場所を確保できない。昨年末に一念発起してキッチンカウンターの片付けをし、2週間に1回ぐらい青山フラワーマーケットでダイニングブーケを買うようになったのだけど、数ヶ月経って気づいたらまた郵便物やらなんやらでスペースが埋まってしまった。

せっかく花を買っても、忙しいと水やりを忘れてしまい、気づいた時には萎れている。ずいぶん長生きしそうな多肉植物も、洗面所に置いておいたらあっという間にだめになってしまった(なぜだろう)。夫からは「花枯らしばばあ」と呼ばれている。

そんな有様なので、普段は「花と植物のある暮らし」を十分おくれているとは言えない。私が「花と植物」と聞いて思い出すのは、先月滞在したスリランカのことだ。

アーユルヴェーダ施設で過ごす5日間。ホテルに到着するとまず、大きな葉っぱを1枚渡された。スリランカで、Welcomeという気持ちを表す植物だという。

滞在中は毎日マッサージをしてもらえるのだけれど、毎回施術室に行く度にセラピストさんが、とても大事なものを渡すようにして花をくれる。一輪の時もあれば、何種類かが束ねられている時もある。毎日種類は違って、いつもいい香りがする。もらった花の香りを胸いっぱいに吸い込んでから、ベッドに横たわる。

敷地内は木々が生い茂っていて、風が吹くとざわざわ揺れる。鳥が来る。リスが来る。朝早くから暗くなるまで、いつでも誰かがほうきで葉っぱを集めている。

大きな木が作る陰の下で本を読む。やっていることは家にいる時と変わらないのに、比べ物にならないぐらい気持ちがいい。この感覚、キャンプをしている時と同じだ。野外でインドアな何かをするのって、癖になる。

植物に囲まれていると、世界が刻々と変化する。木々や花の香り、音、色が、無機質な日常を刺激して鮮やかな感動を呼ぶ。硬直した世界の対極。なんだろう。艶めかしい。

家のベッドで首都高を走る車の音を聞きながら横たわっている時よりも、はるかに強く感情を揺さぶられる。時計なんかなくたって、時が流れていくのをひしひしと感じる。最近観た「リトル・フォレスト」のエンディングがよぎる。四季の移ろいを感じるのに植物は欠かせない。桜の季節が終わって、じきに夏が来る。

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