日記

 2030年9月、とあるコンビニのレジで私の前に並んでいたお母様方の話。

「うちの保育園ね、giftedクラスとungiftedクラスに分かれてるんだってwww」

「えーやばなにそれw えじゃあ普通の子はungiftedになっちゃうわけ?」

「そうwww 梨沙子なんてさー、1歳の頃から英語教室通っててgiftedの意味わかっちゃってるのよね。絶対giftedの連中giftedの意味わかってないって。絶対梨沙子の方が優秀なのにありえないよねーw」

「えーやば差別じゃん。で、そのgiftedクラスの子達は梨沙子ちゃん達と何か違うことをしてるの?」

「なんかー、好きなことしてていいって感じ? 梨沙子らがやってる運動会の出し物とかもやんなくていいんだって」

「えっじゃあうちらが駆り出されてるバザーとかもやんなくていい感じなの?」

「保護者のことはわかんないけどねー。でもなんかgiftedクラスの子の親ですっていう人あんま会ったことなくてさ。やっぱ肩身狭いんじゃね?」

「でもいいじゃん、あなたの息子さんは才能ありますって言われてるようなもんだしね。giftedの意味もわからずに才能とか意味わかんないけどw」

「まーでもそこまでしないと自己肯定できないんじゃない? 社会不適合者って言われるの嫌だからって逆にうちらを差別しようとしてるのよ」

「要するに可哀想な人って思っとけばいいってことね。あんま関わらない方が正解かも」

「わかる。今のうちに梨沙子にも言っておこうかな」

 追加でカップ麺を買おうと思って、私はレジの列を抜けた。


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