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Bad Things/23

【episodeユカリ〈2〉初夏の流星】

 その日は起き抜けから雨音が聞こえていた。

 通勤路にあるギャラリーの前で八角さんと顔をあわせ、「おはようございます」と声をかけたけれど、電動シャッターの音に掻き消され、私はさしていた傘を上下して挨拶代わりにした。

 そんなやり取りがなければ、私が澄田さんの車に乗ることもなかったかもしれない。

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