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momoro66
赤いなんとかと緑のたぬき
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田舎道で追い抜いた赤色のコンバインが、飛び立つ雀の舌を切る。
刈入れを終えた田んぼに残る、一枚分のセイタカアワダチソウ。曼殊沙華と穂のひらいたススキが揺れる、羽を広げた鷺の降り立つ畔が電気柵で囲われている。子どもは立ち入り禁止。
タヌキの坂道、サルの裏山、果樹園では鈴をつけるかラジオを鳴らす。クマ注意の標識に蔦。夜口笛を吹くと蛇が出る。脱け殻は薪小屋で見つけた。
金木犀は運動会の匂い。井戸から汲み上げた水にカメムシの死骸が浮いて、バケツをひっくり返しもう一度水を汲む。熟れたアケビには手が届かない。
蝶に似た、ハグロトンボの影が悪魔の使いに見えてエンガチョ。ググったら別名極楽トンボとか、羽をあわせる姿に手をあわせて頭を垂れる。稲穂のように。
頭でっかちの菊を支える父の手が、スコップで土を掘る夕暮れ。むしり取った野菊を添える、裏の畑の柿の木の、後ろの斜面をのぼったところの犬の墓。摘んだヤマユリ、リンドウ、ケイトウと、花屋で買った菊を父の墓に。
電線のあいだに巣くった蜘蛛をヒヨドリが啄んでいる。空き家の裏庭の、ネットを破ったイノシシどもが掘り返した土の跡。三角地の田んぼの耕作放棄のあとの基地局に白旗。朽ちかけた里山からハローワールド。
戦うつもりはありません。
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