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大人。褒められたら嬉しい。

一昨日、お迎えにきた保護者の方から「先生、すごく絵が上手でビックリしました。学童でお絵かきのクラスとかやらないんですか?」と言っていただいた。
私はよく、暇してる子どもを捕まえて似顔絵やさんをやっているのだが、一昨日話してくれたその子は、どうやら私の描いた絵を家に持って帰ったらしい。(私が描いた似顔絵は、だいたいみんな学童用の名札の中にいれてくれている)

昔から絵を描くことは大好きだけど、オーストラリアにいるとき、シェアメイトに「SHIOLI、あんまり絵うまくないね」と言われてから、どんだけ描いても自分の絵が上達してると思えなくなった。
周りにいる友達の中には、絵で飯食ってるプロの子もいるので、いつまでも落書きに毛が生えたレベルの絵しか描けないなぁ、と絵に関しての自己肯定感は全く持てずにいた。

そんな私の絵をべらぼうに褒めてくれたのが子どもたちだった。
おやつ後の見守り中、向かいで勉強していた3年生の女の子の絵をなんとなく描いていたら「先生、それ私?」と聞いてきてくれたのがはじまり。

「うん。なんかお絵描きしたくなっちゃって。どう?似てる?」と私が聞くと、その子は「すごい!先生超絵うまいんだね。これ名札に入れたいから私に頂戴」と目を輝かせていた。

私の絵でも、こんなに喜んでくれる人がいるんだ。

その子が私の絵を名札に入れたことがきっかけで、学童内では空前の似顔絵ブームが到来。毎日2~3人がコンスタントに「絵を描いて」と言ってくれるようになった。
そして嬉しいことに、学童内で絵の練習をする子が増えた。自由帳を使う子もいれば、いらないプリントの裏側にたくさん描く子もいる。
私も負けていられないと思い、家でも再び絵を描くようになった。使いかけのスケッチブックを引っ張り出して、暇さえあれば手を動かすようになった。
そして先日、とうとうタブレットにCLIP STUDIOをインストールした。
絵に自信がなくて、プロでも何でもない自分が有料ソフトを使うなんて絶対に無駄だと思っていた。そんな私にとってクリスタは憧れのソフトだった。
私がクリスタをインストールした理由はいろいろあるけど、やっぱり子どもたちから自分の絵を褒めてもらったことが大きい。

最初に似顔絵を描いてあげた子が、最近絵画教室に通い始めたと教えてくれた。デッサンやクロッキーといった基礎的なことを教わっているそうだ。
「私ももっと絵の練習、頑張らないとだな」と返事をすると、彼女は私の顔をじっと見て「先生、これ以上上手になってどうすんの?ちゃおで漫画家になるの?」と真顔で言ってきた。斜め上のことを言われたので、思わず吹いた。

別に絵で食って行こうなぞとは思ってもいないし、好きでずっと描いていたいとは思うけど、描いているからには他者からの評価も欲しくなってしまうのが人間の性。
彼女が褒めてくれたから、絵を描く楽しさを思い出して、もっと描こうという気持ちが生まれた。

大人だって、褒められたら嬉しいんだ。やる気が出るんだ。

子どもに限らず教育は生きてる間ずっとついてくるものだから、「教育」=「褒める」ってなんとなく紐づけしておくことは大切だと思う。それは社会に出ても同じだ。

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