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2022.05.07/疑えば目に鬼を見る

相変わらず身体が重いので、マッサージでも行った方がいいのかと、スマホで近隣のお店を調べ出す。どちらかというと鍼灸に興味がある。ぜひブスブスと刺してみてほしい気持ちはある。でも思い返せば今の時期は生理前だった。月に一度、ホルモンの前では何もかも諦めるしかない。

18時半に退勤する予定も、なぜかその時間に電話、電話、お客、電話、という感じでてんやわんや。上がる頃には体力を使い果たしていた。

家に帰り晩御飯を食べる。今日くらいはお酒を飲むか〜と考えていたが、結局手は伸びなかった。4月に富士宮へ行った際に仕入れた日本酒やみかん酒が、冷蔵庫で眠ったままだ。

本当だったら、今日はかねてより予定立てていた飲み会に参加のはずだった。忙しい現代人が予定を合わせるのはなかなか難しい中、奇跡の一日をとても楽しみにしていたけれど、賑やかな場に行けるようになるのはもう少し先になるだろう。兄の容態ではなく、私のテンションの問題だ。

そんなことを考えていたら、食べていた餃子につけた醤油で白シャツを汚す。あーあ。けっこう気に入ってたのに。白い服は着ている時に限って汚すから、本当は大の苦手だということをいやでも分からされる。得意になれるもんならなりたい。


食べ終わってYouTubeを見ながらぼーっとしていると、職場から電話がかかってくる。何事かと思い電話を取ると、どうやらクレームの電話が入ったらしい。内容は商品の規格についてだった。そしてさらにそのクレーム電話の対応で、相手の怒りを増幅させてしまったようで、そのお客さまの家へ謝罪へ行くことに。私も再び職場に戻り事情を聞き、二人で行くことになった。

職場へ向かう最中、なんだか現実感がなくて車内で一人で笑ってしまう。こんなに日々いろんなことが起きるものか?

一応何かあったときのことを考えて、母に説明してから家を出ようとする。母も口には出さないが、ふだんにないくらい心配してるのがわかった。兄が倒れて1週間も経っていない日に、娘を夜更けに送り出すその心中察するに余りある。母の日直前にうちの母親を心配さすなクソボケアホ、と思った。お客さまがマジにヤバイ人だったとき、こっちがキレてしまわないか一抹の不安がよぎる。

そのお客さまが裏社会の人だったり病気の人だったりした場合など、ありとあらゆる想定をしてから向かう。職場から30分ほど車を走らせて、住宅街の狭い道を不安げに通ると、意外とスムーズに到着した。

到着するとお客さまのお母さんが丁寧に出迎えてくれた。70代くらいだろうか。あとから当のお客様が現れる。電話口で怒鳴ったから、どうやら怒りはある程度収まっていたらしい。話を聞くと、こちらの事情もある程度鑑みてくれていたし、何度か来てくださっている方だった。「母の日」用に長い時間と高いお金をかけて選んだプレゼントなのに、お怒りにつながってしまった。

クレーム対応の基本は傾聴と共感と言うが、本当にその通りだった。一通り話を聞いたら「むしろ地元だから応援してる」とまで言ってくれた。そう仰ってくれる方の気持ちを裏切るのは本当につらい。見た目はヤの人でもおかしくないが、心根がやさしい人なのは十分に伝わった。(ご自身でも見た目の話は言及していた。)

新卒のときに働いていた会社では、もっと理不尽に客に怒鳴られたり、上司が助けてくれなかったりといった苦い経験があるので、私としてはむしろ今回のお客さまは愛があって優しいなと感じた。ちょこちょこ他にいただいたご意見も正論だ。ちゃんと伝えてくれるのは愛でしかない。自分だったらこんな真正面から伝えられるだろうか。たぶん嫌いになって「あそこには行かない方がいいよ」と周りに話して終わるだろう。まだその域には達していない。自分の器の小ささを思い知る。そういう時期なのかもしれない。

ただし他人に対して怒鳴るのは、何にしても許されるべきではない、とも思った。

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