究極の幸福「死ぬのがいいわ」な人生
藤井風のファンは40代後半から50代女性が多いらしい。まさにドンピシャ世代の私ですが、新米ファンなので、エラそうに語ることはできません。今回は今さらですが、世界的ヒットした藤井風の「死ぬのがいいわ」を通して、あくまでアラフィフの私が感じたことつれづれ…。
そもそも藤井風を知ったのは数年前、『関ジャム』という音楽バラエティ番組(いい番組ですよね)で紹介されていたのがきっかけでした。数名の専門家が藤井風の才能について熱烈に語っていたのが印象的でした。
その後、講師活動で岡山出張へ行った時に受講生の男性が「藤井風が好き」と話していたり、潮風健康美塾のメンバーさんが「風くんにハマってます!」と話していたりして、さすがに人気があるんだなあと思ってはいたけれど、当時はアルバムを買って聴きこむほどではありませんでした。
度肝を抜かれたのはYou Tubeで配信された日産スタジアムの無観客ライブ。
雨が降る広いスタジアムの中央でたった一人、何の演出もなくグランドピアノと歌だけで、あっという間の1時間!
ファンとしては興奮するけれど、もしミュージシャンだったら、これを観たらやる気を無くすのではないかと思うような圧倒的な才能。背筋にゾクゾクとした熱さとゾワーッとした冷たさが一緒に来る感じがしました。
どこか懐かしくて、ノスタルジックな音と風貌、幼い頃から訓練を受けてきた人特有のアスリートのようなピアノタッチ、音楽が溢れてきて仕方ないというようなソウルフルな歌い方、日本語にこだわった楽曲を英語で解説するクールさ、舌っ足らずな方言と無防備なほどピュアでスピリチュアル性の高い言葉の数々・・・。
魅力を上げるとキリはないけれど、今回特筆したいのは世界的ヒットとなった「死ぬのがいいわ」について
“わたしの最後はあなたがいい
あなたとこのままおサラバするより
死ぬのがいいわ
三度の飯よりあんたがいいのよ
あんたとこのままおサラバするよか
死ぬのがいいわ”
まるで演歌のような、昔の中島みゆきのような、依存や執着のどろ沼のような恋愛ソング…と思っていたら…テレビのインタビューで“あなた”=もうひとりの理想の自分、と知って驚きました。
「ワシ的には自分の中にいる愛しい人、自分の中にいる最強の人にしがみつきたいと」
「それを忘れてしまっては死んだも同然みたいな。(自分との対話に)なってると思うんですけど、本当に色んな、多分誰もそんな解釈をほとんどしてないと思うんで、それがまた興味深いところではありますね」
「自分の理想の形は自分の中で見えとって、それに近づきたくても近づけない事もあって、そっからの救いを求めてるというか…。もがき、そういう事が閉じ込められている事が多いのかなと」
インタビューを受けて歌詞を読むと、なるほど最強の自分への恋愛ソングとも読みとれます。
“鏡よ鏡よ この世で1番
変わることのない 愛をくれるのは だれ
No need to ask cause it's my darling
わたしの最後はあなたがいい
あなたとこのままおサラバするより
死ぬのがいいわ
死ぬのがいいわ
三度の飯よりあんたがいいのよ
あんたとこのままおサラバするよか
死ぬのがいいわ 死ぬのがいいわ
それでも時々 浮つく my heart
死んでも治らな治してみせます baby
Yeah, I ain't nothin' but ya baby
失って初めて気がつくなんて
そんなダサいこと もうしたないのよ goodbye
Oh don't you ever say bye bye, yeah, yeah
わたしの最後はあなたがいい
あなたとこのままおサラバするより
死ぬのがいいわ
死ぬのがいいわ
三度の飯よりあんたがいいのよ
あんたとこのままおサラバするよか
死ぬのがいいわ
死ぬのがいいわ”
潮風健康美塾のオンラインスクールでも「最強の自分基準ソング」として紹介したけれど、藤井風は他の楽曲でも「理想の自分、最強の自分、最愛の自分」を何度も登場させています。
その中でも「死ぬのがいいわ」は自分の価値観で人生を生きること、命をかけて最強の自分を追い求める覚悟を謳い上げているように思います。
私たちはいつも「他人にどう思われるか」を気にして、知らぬ間に「自分以外の誰か」が思考の中心になってしまうことがあります。
自分のことを話しているはずなのに、いつの間にか他者が主語になっていることがあります。
「本当にしたいこと」が分からなくて、他人の夢を自分の夢と信じて生きていることさえあります。
そう言えば、マツコ・デラックスが幸福について「自分が幸福かどうかっていうのは、他者にゆだねているところがすごく大きい」と話しながら
「でも、他者っていうモノを介在させない自分があることが、幸せにつながる」
と言っていました。
まさに「死ぬのがいいわ」には他者を一ミリも介在させない覚悟が感じられます。
三度の飯より自分であることがいい。
それくらい自分に恋をして、自分の人生を愛する、そんな生き方は究極の幸福な人生に違いありません。
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