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【ほっこり読める小説】塩のサジ

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オリジナルの小説を書こう!と長年の夢を形にしました。「塩かげんのサジかげん」と題し、省略して「塩のサジ」。10分程度で読めるショートショートをベースに書き連ねていきます。まずは、…
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#短編小説

【短編小説】特潜・実谷重綱が伺う

 沢城壮太は、震えていた。足もとからガタガタと震え、全身に悪寒が走る。風邪の時とは違う。…

塩かげん
1か月前
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【短編小説】バカは死んでも治らない

 伝説の勇者というと、聞こえはいいけど簡単に言えば人殺しだ。もう少しマイルドに言うと魔物…

塩かげん
2か月前
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死神を面接

「じゃぁさぁ、もう他にウソはない?言ってないこととか。全部、今なら考慮するから」 「いや…

塩かげん
3か月前
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隣の殺人鬼はノーカウント【SIDE-B】

SIDE-B 前略、笹岡倉穣一から殺人鬼へ   窓越し、またあの夫婦が騒いでいる。相変わらず朝…

塩かげん
3か月前
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隣の殺人鬼はノーカウント【SIDE-A】

 SIDE-A 拝啓、依田慎太郎と麻衣子から、殺人鬼へ  朝、玄関先に犬が死んでいた。死んでい…

塩かげん
3か月前
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きっと、勇者のいた会社

「申し訳ありません。はい、先方には納期変更の連絡、はい、今から、はい。私も、はい、伺いま…

塩かげん
3か月前
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【短編】わかりあう、ふたり

「ねぇ、もう終電なくなるんじゃない?」  早田早紀は澤井雄二の断固として帰らなさげな素振りが気になっていた。もう夜の十一時五十分だった。終電がなくなったら、カラオケっていってもとにかく今日は帰りたい、早紀は雄二が帰るよと言いださないかと強く強く念じていた。 「あのさ、ここからタクシーじゃぁ五千円はかかるもんね。ウチまで」 「知らないよ、京都駅から久御山あたりならそうなんじゃないの」  早紀はそっけない。だが早紀にはさっきから雄二のまわりに余計なものが見えていた。 ――あぁ

【短編小説】最初から、好きだったふたり

「吉野くんのことは嫌いじゃないけど、恋人っていうか付き合うっていうのは、なんというか」 …

塩かげん
5か月前
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【短編小説】埋める、悪党

 どうにもこうにもおっかねぇ。小学校の通学路にまた、ひび割れができていやがる。  独り言…

塩かげん
6か月前
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【短編】隕石に、眠る

 不治の病って、ふじの病なのか、ふちの病なのか。どっちかなんて、まぁ今考えても仕方ない。…

塩かげん
6か月前
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【短編】ノート

 先に入ってて、と言われて居酒屋に一人で入るのはなんだか嫌な気分だ。もう三十三にもなるん…

塩かげん
6か月前
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【短編小説】となりのスニーカー

 俺のモノじゃない靴が玄関に一足。吉村はじっと靴を見た。俺のじゃない。なぜウチの玄関にあ…

塩かげん
7か月前
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【短編小説】ただ、恐ろしい

 池田優作の平日は職場と家の往復だ。自転車で通勤できるほどの距離だ。片道自転車で十五分、…

塩かげん
7か月前
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【短編小説】夢見る家族

 六月八日(木)、午前十時  田辺健一はスマホの着信音で目覚めた。会社からだった。そのまま、電話をとらずにいると、一時間のあいだに何度も何度も電話がかかってきた。それでも健一は起きなかった。今日は二ヶ月間準備を進めてきたプレゼンの日だった。    腹が減った、寝続けてもう午後二時を回っていた。昨日はプレゼンの準備も終わって、残業もなかったからぐっすり眠れた。こんなに寝たのは何ヶ月ぶりだろう。しっかし、汗でびっしょりだ。    六月八日(木)、午前十一時 息子の田辺弘樹は目覚め