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【ほっこり読める小説】塩のサジ

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オリジナルの小説を書こう!と長年の夢を形にしました。「塩かげんのサジかげん」と題し、省略して「塩のサジ」。10分程度で読めるショートショートをベースに書き連ねていきます。まずは、…
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#短編小説

【短編】わかりあう、ふたり

「ねぇ、もう終電なくなるんじゃない?」  早田早紀は澤井雄二の断固として帰らなさげな素振…

塩かげん
1か月前
43

【連載】蜘蛛の手をつかむ-第1話

 立木陵介が菜緒と交わした最後の言葉は、「蜘蛛の巣、何とかしておいてね、陵ちゃん。お願い…

塩かげん
1か月前
40

【短編小説】最初から、好きだったふたり

「吉野くんのことは嫌いじゃないけど、恋人っていうか付き合うっていうのは、なんというか」 …

塩かげん
1か月前
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【短編小説】埋める、悪党

 どうにもこうにもおっかねぇ。小学校の通学路にまた、ひび割れができていやがる。  独り言…

塩かげん
2か月前
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【短編】隕石に、眠る

 不治の病って、ふじの病なのか、ふちの病なのか。どっちかなんて、まぁ今考えても仕方ない。…

塩かげん
2か月前
33

【短編】ノート

 先に入ってて、と言われて居酒屋に一人で入るのはなんだか嫌な気分だ。もう三十三にもなるん…

塩かげん
3か月前
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【短編小説】となりのスニーカー

 俺のモノじゃない靴が玄関に一足。吉村はじっと靴を見た。俺のじゃない。なぜウチの玄関にあるんだ。でも、なぜか見覚えがある。  吉村の部屋は1DKだ。玄関から即キッチン。その奥にベッドやら、一人用の座椅子やら、パソコンデスクがある。  きっと誰かがいる。不気味だから逃げればよかったが、どうして怖いもの見たさの好奇心を抑えられなかった。だが怖いし、気味が悪い。やっぱり逃げた方がいいか迷う。  ここ数日、リモコンやカップの位置が変わっていることも不思議だった。  吉村はキッチ

【短編小説】ただ、恐ろしい

 池田優作の平日は職場と家の往復だ。自転車で通勤できるほどの距離だ。片道自転車で十五分、…

塩かげん
3か月前
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【短編小説】夢見る家族

 六月八日(木)、午前十時  田辺健一はスマホの着信音で目覚めた。会社からだった。そのま…

塩かげん
3か月前
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短編小説おまとめ版ベスト3

塩かげんってのは、私の屋号でして。本業はコピーライター&プランナー&編集者&WEBディレク…

塩かげん
3か月前
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【短編小説‐後編】おふくろの味を、もう一度

【前編はこちら】 ↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓  俺の生命線は基本的に給食だ。中学で給…

塩かげん
4か月前
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【短編小説‐前編】おふくろの味を、もう一度

 雨がやんだ、すっごく天気がいい。あれ、雨って天気の一部なんじゃないの?雨じゃない時に【…

塩かげん
4か月前
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【短編小説】私たちを地獄で裁くこと

 最終決戦だ、目の前には悪の帝王ゴルゴロスが。指先から波動、空から雷鳴が轟き、パーティー…

塩かげん
4か月前
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【短編小説】負け犬のふたり

 ぼくには友達がいない。友達の定義は広くて、登下校の友達、チーム分けのときの友達、お弁当を食べる時の友達、部活の友達、そして悩みごとをお互いに話せる友達だ。最後のは、親友みたいになものだから、ぼくには夢のまた夢の友達だ。  小学校に上がった頃から、友達らしい友達もできず、もう中学二年生だから八年ぐらい友達がいない。もはや友達がいないプロだ。  コロナに入ってからは黙食でお弁当を食べる形になって、まさに個食だからぼくにとってはありがたい。  でも、先生がいなくなるとみんな