不動産投資で成功するにはどのような物件を買えばよいか

不動産投資初心者は築古再生投資で経験値と実績を積むべし!

私が何度もツイッターで言っていることですが、素人が不動産投資をやっても基本的に儲かりません。

不動産投資が仮に儲かるとするならば、なぜ大企業達は不動産投資をしないのでしょうか?都内の数百億規模のテナント投資とかはやっている企業はありますが、アパート・戸建て投資をメイン事業に据えている大企業は見かけませんよね。

理由は簡単です。利益率が非常に低いからなんですね。そして、「不労所得」とか言われてますが、実際は様々な労働が付帯してくるわけです。利益率が低く、手間もかかる。そりゃあ大企業がそんなものをやっていたら速攻でつぶれてしまいます。

そういった利益率が低い事業というのは、「個人」が「自分の時間を消費」して、「低利益率でも人件費がかからず経費が少ない」という状況で、やっとビジネスとして成立するわけです。だから、アパマン投資というのはほとんどが個人・零細企業がオーナーになって行っているわけです。


そんな不動産投資ですが、唯一良いところがあります。それは、投資であるのにも関わらず「銀行借入」ができるところです。株式投資や債券投資をするからお金を貸してくれ!といっても当然銀行はお金を貸してくれません。

一方、不動産投資はある意味「事業」でもありますし、抵当権の設定をすることで銀行は担保の確保もしやすい。なので、例外的にお金を借りることができるわけです。

自分のお金をほとんど支出せず、他人からの借り入れだけでビジネスを回し、返済を引いた手残りが自分の利益になる。この点が他の投資にはない、不動産投資の優れているポイントなわけです。

本記事では、「どうしても不動産投資がしたい!不動産投資のプロになりたい!」と考える人が、最初にどういった物件に取り組むべきか、その後どのように規模を拡大していくべきか、について語っていきます。


さて、「不動産投資は銀行借入ができる」と言いましたが、実際はそんな簡単に借りられる類のものではありません。

自分が銀行マンだと思ってみてください。賃貸経営について何も経験のない、お金もない、不動産業界に勤めている訳でもない、そんな人が「不動産投資をしたいんです!お金を貸してください!」と言ってきたと想像してみてください。お金貸します?(笑)絶対貸さないですよね。

この、「投資未経験者に投資用資金を貸すわけなんてない!」というところに着目して、「バカな投資未経験者(ただし年収は高い)」を騙して悪徳不動産業者と銀行がタッグを組み、「属性の良い(年収の高い)」人に多額の高金利融資を組ませ、劣悪な投資商品を売りまくった事件が、かの有名な「かぼちゃの馬車事件」です。バカ達は年収は高かったので、不動産投資が思ったような収益を産まなくても給料から補填することができました。バカ達の財布を狙った事件だったわけですね。

かぼちゃの馬車だけでなく、スルガ銀行は属性の高い投資初心者に対して金利4~5%という高金利で収益物件融資を行いまくりました。結果、馬鹿な投資初心者たちは、知識もないのに高額な低利回り物件を掴み、のきなみ破産したり、スルガ銀行相手に裁判を起こしたりしています。

話がそれましたが、結局、マトモな銀行なら投資初心者など相手にされず、悪徳銀行だったら騙されるといったわけで、不動産投資で銀行融資を受けるには「経験値・ノウハウ・実績」がやはり必要だ、ということです。

でも、数千万もするアパート・マンション・テナントを現金でなんて買えるわけがありません。では、不動産投資のスタートにはどのような物件が最適か、それは「築古戸建て投資」しかあり得ません。(やっと本題に入っていけました(笑))

といったところで、本記事の主テーマである「築古戸建て再生投資」について、これから語っていきます。


こちらの写真は本記事の一番上にも登場しました。私が独立して3年目に購入し、初めて「賃貸戸建て」として商品化した物件です。

写真の雰囲気から見てわかる通り、山の中腹に存在し、ここに至るまでにはかなりの坂道をのぼる必要があります。大雨がふると山から流れてくる水がすさまじく、建物隣にある坂道はまるで川のように水が流れてきます。

昭和40年代に建てられたこの家は、山の湿度の影響もあり、カビが酷く、シロアリにやられている個所もありました。インフラは整っていますが、スーパーやコンビニにアクセスするには車で5分程度はかかり、利便性は正直悪いエリアです。

相続によって引き継がれたこの空き家は、元の住人が高齢だったこともあり、室内のものがほとんど片付かれることなく放置されていました。

空き家を相続したほとんどの人は、自身で室内の残置物を片付けられません。忙しい生活の中で、これだけの量のゴミを分別して処分する。数年かかりの作業になることも多いです。最初から諦めてしまう人が多いのも無理はありません。

逆に言えば、そういう物件こそ「安く買える家」だということです。一般の人がこれだけ築年数が古く、ゴミがこれだけ山盛りで、立地も良くないこの家を見たら、値段が例え200万、300万だとしても買おうとはなりません。

また、不動産仲介会社の立場から見ても、仮にこの物件で200万の両手仲介をしても得られる利益は売主側から18万+税、買主側から10万+税で、あわせて30万弱。その為にネットに載せる作業をして、何人もの人を案内して、重要事項説明書と契約書を作成し、人によってはリフォーム会社の手配やらローンの手配までする、どんなに安い物件でも買った後に文句を言ってくる人はいるし、契約不適合責任というのは消費者を強烈に保護する法律なので仲介会社が訴えられる可能性もある。こんなことやってられるわけがありません、仮にこんな物件ばかりが押し寄せてきたら倒産してしまうくらいに儲からない物件ということです。

となると、こうした物件は「買った後に何も文句を言わない人にパパッと売ってしまおう!」となるわけです。足利で言えば、それは弊社だ、ということですね。仲介会社はすぐに片がついて良し、弊社は物件を安く仕入れることができて良し、売主はまさかこんな家が売れるのかと思っているような物件が早急に売れてくれて良し。三方良しの完成です。

このように不動産仲介会社から「あそこはとにかく安いけど、なんでも買ってくれるぞ、買った後のクレームもないしらくちん♪」と思われるようになればしめたものです。再生不可能な物件を除いて、とにかくどんな物件でも「安く」買いさえすればなんとかなるものです。(ここらへんはせどり・転売と通ずる部分があります。)


それでは実際にこの物件をどのようにリフォームし、どのような金額がかかったのかを説明していきます。まずはリフォーム前後の写真を見比べてください。

5DKの間取りで、建物自体は中々に大きい
駐車場は2台分

リフォーム内容は、外壁・屋根塗装、1階のフローリングにベニヤを敷いてCF貼りに、水回りは予算の都合上浴室は水栓金具のみ交換、その他のキッチン・トイレ・洗面化粧台は新品交換、クロス全室張替え、防蟻工事、照明器具の交換など。

リフォーム思想は、「とにかく清潔感を出す、一番最初にお金がたくさんかかってもいいから今後20年くらいは追加リフォームの必要が無いようにする」といった感じです。築古戸建て投資を行っている人の中にはほとんどリフォームをしない派の人もいるようですが、余程周辺家賃と比べて安く貸すか、他にライバルがいないなどの要因が無い限りは、現実問題としてリフォームせずに貸し出すのは困難だと私は感じています。また、総予算の中でリフォーム代金をたくさん確保するには、やはり「安く買う」ということが必要不可欠になってきます。

また、弊社は賃貸の募集要件でも工夫をしています。以下は弊社がネットに賃貸戸建てを掲載するときに書いている要件です。

・敷金、礼金、更新料なし、仲介手数料なし、フリーレント1か月
・賃貸保証会社必須、火災保険必須(どちらも借主負担)
・ペット飼育可能(多頭飼い、大型犬などもok。ただし、10年未満の退去の場合違約金50万円)
・DIY可、その代わり、雨漏り・漏水以外の不具合はすべて入居者対応

この募集条件の狙いは、敷金などをすべて無しにすることで初期費用をほとんどかからないようにすることで競争力を増し、かつお金が無い人でも借りやすくする、というものです。

お金が無い人は民度が低い傾向にあるが、アパートとは違い、他の入居者に迷惑がかかるわけではない。(近隣の人に迷惑かけてしまっていたらそれはごめんなさい(笑)) また、これは当たり前ですが、賃貸保証会社必須にすることで家賃未納などのリスクも回避。

ペット飼育可能にすることで物件競争力は圧倒的に増すが、その代わりに退去時には建物内部が悲惨なことになる。その部分は10年未満の退去の場合の違約を設定することでリスクヘッジ。(この条件でも、そもそもペット飼育可能の賃貸戸建てがほとんど無いので入居者は飲んでくれる)

一番特徴的なのが、「雨漏り・漏水」以外の全ての不具合を入居者負担とすることで、「無駄な連絡をさせない」ようにしていること。弊社のメイン事業は「再生販売」なので、賃貸物件に時間をとられたくない。一回貸したら、それこそ退去の時くらいしか電話をもらいたくない。そうした考え方からこのような条件で契約しています。実際に、この5年間で丁度10件の賃貸戸建てを商品化し貸していますが、雨漏りでの連絡が2度、山火事での避難命令があった報告が1件(汗)あっただけで、それ以外の連絡は一切ありません。


さて、最も大事な費用関係、家賃や利回りについてですが、

・物件代金ーーー30万円
・諸費用(仲介手数料、登記費用、取得税、防蟻工事など)ーーー40万円
・リフォーム費用ーーー170万円
・残置物撤去費用ーーー30万円
・合計ーーー270万円
・家賃月額5万5000円ーーー年額66万円
・火災保険、固定資産税ーーー年額約6万円
・差し引き60万円÷270万円ーーー実質利回り22.2%

部材高騰前のリフォーム費用なので、今この内容でリフォームをすると200万前後かかるはず

といった感じです。最低でも15%以上の利回りが出て、自分でセルフリフォームをするなんていうバイトをしたほうがまだマシのような行動をすることなく、賃貸後もそこまで時間を取られるわけではない。このくらいの商品を作ることができて、やっと不動産投資は「やる意味がある」レベルのビジネスになります。逆に言えば、このレベルまで最低限いけないなら、不動産投資なんてやる価値はありません。バイトでもしてそのお金で積み立て投信でも買ってたほうがまだマシです。


纏めます。私が大事なだと思っているポイントは「家を安く買う」「リフォームも安く仕上げる」「人が住める最低限の清潔さを演出する」「ペット飼育可などのライバルにはない利点を設定する」「出来るだけ自分の時間がとられない条件で契約する」といったものです。

特に、「家を安く買う」が最も大事な要素です。(当たり前ですが^^;)

他の要素は、正直に言ってしまえばズブの素人でも出来ます。リフォームを安く仕上げるには相見積もりをしていって、なんとか良い大工さん・工務店さんと巡り合えばいいし、清潔さの演出は外壁塗装・水回り交換・クロス貼替・フローリング貼替あたりをしていればなんとかなります。契約条件の工夫については例えば弊社がやっているのを丸パクリすればいいし、自分の時間をかけたくない人は管理会社を挟めばいいです。

でも、「家を安く買う」ことだけは、難しいんです。例えば不動産会社に「すいません、投資やりたいんですけど、安い家ありませんか?」と問い合わせをしてみたとします。電話をとった営業マンは、

「うわー、またこの手の電話かよ。素人がクソ物件を見に来て結局買わないで帰るパターンを俺たちがどんだけ経験してると思ってんだよ。100万とかで物件をネットに載せると50~100件くらい問い合わせあるんだぞ?で、物件情報だけくださいっていうアホがその内の9割、残りの1割が見にくるけど、結局誰も買わないで買える。写真見ただけでリフォームができそうかとか判断つかねーようなど素人は時間の無駄だからマジで見学しにくるなよ。その点しおいぬ社長なら住所だけ送って、外から見ただけで大体の買取金額提示してくれるから楽でいいわ。てめーらみてーな素人に時間かけるくらいなら、既に関係性できてる人に物件情報送るっての。アホか(笑)」

と、間違いなく思います。そのくらい、不動産投資初心者(笑)が増えすぎたことで、不動産仲介会社さん達はそいつらの対応に時間を取られて辟易しているわけです。

こんな状態の中から、不動産仲介会社と信頼関係を築き上げ、物件情報を回してもらえるようになり、実際に何件も契約を成立し、着実に物件数を増やしていくのは、正直、かなり至難の業なのです。

だから、素人が「1,2件賃貸戸建てをもちたいな」と思うのは危険なんです。仲介会社側からすれば継続的な取引ができる人と付き合いたいと間違いなく思います。でも、1,2件買ったら、「もうお金ありません!」という人ならば、最初から関係性を築くことができません。

たまに、月20万くらい賃貸収入があったら楽だな…、みたいな相談を受けます。しかし、規模が小さい人間、資本力に乏しい人間と仲介会社は付き合いたいと思いません。だから、不動産投資はやるのならば「大規模」にやる必要性があります。大規模にやることで、経費率も圧縮できるし、もらうことのできる物件情報の数や質もあがってきます。繰り返しますが、「小規模投資家」は「不動産投資」においては勝ち目がありません。やらないほうがマシです。


逆に言えば、「大規模」なビジネスを展開する覚悟さえ持っている人間ならば、「不動産投資」は「再現性」の高いビジネスモデルですから、最初の一件をなんとかこなしてしまいさえすれば、後は同じことの繰り返しで規模を簡単に増やすこともできます。

賃貸戸建てを買っては貸し、買っては貸しを繰り返し、3件くらいやれば銀行、信用金庫、政策金融公庫などから抵当権付きの借り入れを引き出せるタイミングです。(属性の高い人なら最初から借り入れできちゃう人もいます)

その後はライバルの少ない戸建て投資を継続していくもよし、利回りの高い築古木造アパートをなんとか見つけてきて一気に大規模大家になるもよし、私は経験が無いのですが、RC一棟物なんかも組み合わせていければ、一気に家賃年収数千万で専業大家になって実質的なFIREをすることもできます。

「楽ではない」「利益率は高くない」。しかし「再現性が高いので才能は必要ない」。最初の大きなハードルさえ飛ぶことができて、長期間にわたって同じことを繰り返すのが苦ではない人なら、確実に事業を拡大させ続けることができる。それが「不動産投資」だと私は考えています。

これから不動産投資にチャレンジをする、全ての人の参考になれば幸いです。

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