仕入れ物件のリフォーム前を写真で確認1

S市A町にて中古戸建を仕入れました。

仕入れ時に考えていること、それを基にどういったリフォームを行うかを写真と共に解説していきます。


物件概要

土地面積149.70㎡(約45坪)、建坪85.58㎡(約25.5坪)、築41年。セキスイハウス施工のユニット工法。立地は市内では中の中といったところ(昔は人気があったけど、今はそんなに…みたいな立地)。駐車場が縦列2台、しかも幅が2.2mしかないことが特大ネック。これをどのように解決していくかが本物件の課題。建物内部の状態は築年数の割りに中々よい。


外観

中古再販物件を仕入れる時、まず最初にするべきことは「この物件をいくらで売るか、どのようなリフォームを施すか」という設定を考えることである。

築年数が浅く、土地が広く、立地が良い、このような物件ならば高所得者層向けにリフォームをある程度贅沢に仕上げて「物件金額を伸ばす」ことを考える。

逆に、築年数が古く、土地が狭く、立地が悪いのならば、新築建売住宅などにも手が届かない層向けに「低金額高コスパ」物件に仕上がるように、リフォーム予算を出来るだけ絞る。

どんな物件でも同じようなリフォームをしていたら、利益を最大化することはできないし、そういった業者はほとんどが「儲からないから撤退」している。中古再販は、「こういう物件ならこのくらいで売れる」というかなり精度の高い「相場観」が無いと中々利益を残すことが難しいビジネスモデルなのだ。

本物件の場合、駐車場が縦列でかなり狭い(解決方法は後述)、築年数も古い。このような物件を予算を上げてリフォームをしても高い金額で売れるわけがない。となると、なるべくリフォームする箇所を絞ってリフォーム費用を圧縮し、販売金額も下げる、といった考え方でいく必要がある。

具体的には、外壁・屋根塗装は実施しない、都市ガス物件ではあるが給湯設備更新代金捻出できないのでプロパンガスに変更(特に低金額帯においては、他の選択肢が少なすぎるので都市ガスだから有利ということは余り発生しない)など。外観は駐車場部分以外ほとんどなにもいじらないこととした。


駐車場

地方において、駐車場が狭い、縦列駐車である、複数台停められない、こういった中古物件の価値は「死ぬほど下がる」。具体的には、その他の条件が全て同じと仮定しても、並列2台車が停められる物件と、1台しか停めることができない物件では200~300万は物件価値が変わってくる

本物件は縦列駐車ではあるが、2台駐車は可能。最低2台駐車が可能であることは仕入れの最低条件だ。(1台しか停められない場合は100万以下でしか買い取らない。)

しかし、2台停められるとはいえ、幅が220しかないと軽自動車ぐらいしかマトモに駐車することができない。(一般的に、普通自動車をストレスなく乗り降りすることができる有効幅は250以上と言われている。)

これを解決する為に、隣地との塀を撤去することにした。塀を撤去することで、車を隣地側にギリギリまで寄せることができる。車のドアを開ける時、隣地の空中を少し占有することになるが(笑)、実質有効幅を280くらい確保することができそうである。また、境界を確認すると塀は全てこちら側の敷地内にあったので、自由に撤去・改装することができそうである。

しかし、いくら敷地内の建造物の改装とはいえ、隣地に何も言わず工事をしたら必ず近隣トラブルを起こす。幸いなことに、隣地は民家ではなく、広域企業であったため(個人対個人の場合は感情論が入ってくるので、例え法的に問題がなくても嫌がられることは多いが、対企業(特に大企業)の場合は法的に筋が通っていれば最終的に相手が必ず折れてくれるw)、挨拶と報告だけしっかりすれば問題なく施工できそうである。


建物内部

建物の中に入ると「The・昭和!」感満載だった(笑) 廊下部分が全てクロスではなく木で、状態も良く、クロス費用が削減できることが嬉しい。ところどころリフォームが施されており、クロス貼替が必要ない部屋も多く、簡単なCF貼り、障子・襖貼替程度で内装のリフォームは十分そうである。

ただ、本物件はブレーカーが単相二線であり、このタイプのブレーカーだと電気の契約アンペア数を30Aまでしか上げることができない。これを単相三線にしてブレーカーを新品交換すると、およおそ20~30万程度のコストがかかる。出来れば交換したくないのだが、今の時代、30Aしか電気が使えなかったら住みづらいことこの上ない。コストをかけて交換せざるを得なく、この部分は少し残念だった。


水回り

トイレと洗面化粧台はリフォーム済みだったので、クリーニングでこのまま使うことにした。リフォームがされていないキッチンと浴室は新品交換することにした。

「費用をなるべくかけないリフォーム」を目指しているのに、このくらいの程度の浴室・キッチンでも交換しちゃうの?と質問をされることがある。

「中古再販」で絶対にしてはいけないことがある。それは「水回り」の予算をケチることだ。

どんなに予算がキツイ顧客でも、彼らは必ず「水回りは最低限リフォームされていること」を望む。心の中では「うるせー、予算1000万以下で探してるのに贅沢言うんじゃねー!」と思ってはいるのだが(笑)、水回りのリフォームがされていない物件は決定率がめちゃくちゃ下がるので、例え利益率が下がったとしても、必ず水回りはリフォームしたほうが良いと自分は思っている。


繰り返しになりますが、どんな物件でも同じようにリフォームをするという感覚だと、中古再販で利益を上げることは難しいです。1つ1つの物件の特性にあわせた形で、リフォーム内容を決定していく必要性があります。

逆に、建売新築では「決められた建物仕様を、決められた間取りパターンの中から、敷地形状にあわせて建てていく」ことが最適解なわけで、ある意味楽なのですが、最適解のパターンがある以上、「大企業の持つスケールメリットに絶対に勝てない」ということも言えるわけです。

一方、中古再販でもスケールメリットは存在するわけですが、個人の「相場観」「リフォーム予算の最適化」の能力値が高ければ、大企業のスケールメリットを覆して、中小・零細企業でも勝っていくことが可能なわけです。中古再販業の良い所は、そのような「大企業に絶対に勝てないビジネス構造に現段階ではまだなっていない」というところだと思っています。

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