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父がいなくなった日

1月4日はこの世から父がいなくなった日。

あれから十何年もたったけれど、あの日のことは今でも昨日のことのようで、なおかつ夢の中の出来事のようでもある。緊張感のある澄んだ夜空に月が綺麗だった。

お正月がまだ続いているようなこの日は、毎年甲府の実家で過ごしている。今年は帰ってきたのは夜だったので、弟も眠ってた。

こんな静かな場所になっちゃって。

賑やかだった私のお正月は、父がいなくなり一変し、そして母がいなくなり、また変わった。

母の魂がこの世を旅立った部屋で目を覆ってみたら、真っ暗になった。

あの日母は暗い中にひとりいたんだろうか。いなくなる数日前にかかってきていた電話に私は出れなかった。多分母だろうと思い、週末に仕事が終わったら電話しようと思ってた。それは今でも悔やまれるけれど、あのとき話していたら母は何を私に言っただろう。

母が最後のときに私に言いたかったのは、たぶん、これでよいからといったこと。

暗闇のなかに父の光はみえただろうか。ちゃんと迎えに来たでしょうねと父に訊く。

父のいなくなった日に母を思う。そう思うと父が、寂しさや哀しさには時が味方してくれると言っていたのは、本当かもしれない。

迎えに来た父は若くて、母も切れのいい瓔子さんで。そして恋に落ちて、今も二人でいるといい。

そんなことを思った昨日。


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