モヤモヤ
中高生の頃は、悩みや不安があるといつもそれに囚われていた。突破口を必死に探し、ひたすらに足掻いていた。モヤモヤとはっきりしない相手に、必死に話しかけ見つめ続けるようなものだった。あまりに不毛だ。しかし、わたしの胸を締め付ける「これ」の正体を知らずにはいられなかった。
酒を飲めるようになると、そんな不毛な問いかけをする機会が減った。 心臓がキュッとなると、おもむろに缶チューハイに手を伸ばす。チューハイを体内に入れるほど、心臓の音が早くなる。だんだんと眠くなる。モヤモヤとした不安は、あやふやな意識の中に淘汰される。朝目覚めれば、日常に散りばめられたタスクに忙殺され、昨日の悩みなんて記憶の遥か彼方だ。
これでは、目の前の悩みを根本的に解決できてないではないか!分かってる、そんなことは分かっている。ただ最近、姿を知らない方がいい悩みがあることを知った。モヤモヤさせておいたほうが、都合のいいものもあるようだ。今の私がこの得体の知れないモヤモヤと対峙したら、きっと泣いてしまう。私の知らない私と出会ってしまう気がするのだ。もし知ってしまったら、私が壊れてしまう気がするのだ。形容できない恐怖と羞恥を前に、私は逃げるしか手立てがない。
私は今日も、お酒を飲んで知らないふりをする。暫くあなたのことは知りたくない。願わくば、このまま全てを忘れてしまいたい。
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