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プルースト、記憶、リラ

突然ですが、ふたつの質問

Q1.
世界一長い小説として
ギネスに認定されている作品とは?

Q2.
香りによって、
過去の記憶が呼び起こされる
そんな経験をしたことはありますか?


世界一長い小説は
マルセル・プルースト著
『失われた時を求めて』

日本語訳版だと
文庫本でなんと全13巻ほど
400字詰原稿用紙で1万枚ほどらしい…
気が遠くなる数字

Q2はもしかすると
多くの人が経験したことあるのでは?
とおもったり…

私もかなりある
金木犀の香りで幼少期が蘇る
シーブリーズの香りは部活を思い出すし
リップバームの香りで
好きだった人が浮かんでくる
世の中は色んな香りで溢れてる

そんな現象を、“プルースト効果”
って言うらしい
この本にでてくるんだよ、
マドレーヌと紅茶と記憶の話…
(詳しくは調べてみてください🤦🏻土下座)


ということで(?)
今日はプルーストについて書いてみます
フランスの小説家です🇫🇷

私史上、最高の読書体験の幕開けだよ

わたしが彼を初めて知ったのは
村上春樹の『1Q84』という作品を
読んでるときだった
もう何年まえかなんて忘れた

作中に、プルーストの
『失われた時を求めて』が出てきて
それで初めて知った
フランス小説の最高峰といわれてるらしい

そこから少し気になってた、
何年も気になってた
かなり長い小説ってのも理解した

長いだけならまだいいけど

噂によるとそれがもう中身も難解らしくて…

長いうえに難しいなんて
わたしの理解能力では到底無理そうだ…と
自信がなくて読み始めるという一歩が
なかなか踏み出せなかった

しかもね、複数いるの、訳者が…
プルーストを読むってなったら
まず誰訳が自分に合ってるかを
見出すところなら始めなきゃ…
とおもってたら重い腰があがらなかった

そのまま数年が経った

でも、なんとなく今年の夏におもった

わたし、いまならプルースト
読めそうな気がする、
ていうか、読まなきゃだめな気がする…

だから色んなサイトを調べて誰の訳が
わたしに合ってそうかめちゃくちゃ吟味した

ほんとは図書館に行って
全部比べようっておもったけど
しないままだったな…

結果、鈴木訳にするって決めた

これが決まればもう無敵
あとは買うだけ、ってところまできた

ある夏の暑い日、
本屋さんへ向かった

そこにはお目当ての鈴木訳がみつからず
ネットで買うか…とおもってたところ、
この本をみつけてしまった

ぜ、全一冊⁉︎
あんなに長い小説が
ちょっと分厚いけどこの一冊に⁉︎

めちゃくちゃ迷った
これでプルーストを読んだ気になっては
いけないんだろうけど
まずは、この縮約版で全体像を把握して
その後、鈴木訳を読むってのはどうだろう?

でもなんか、負けた というか、
土俵の上にも立てない気がする というか、
しゅ、縮約版か……

と本屋さんで驚くほど自分の気持ちと
向き合った、何度も

でも決めた

わたし、とりあえず縮約版で
読んでみることにする!

いまのわたしの理解力と
フルタイムで働いてるから
読書できる時間も限られてるし
そっか、そんな現代人へ向けての
縮約版なのかな、とおもって自分を納得させた

そうして縮約版を手にレジへ向かった

そのまま夏は終わり秋を迎えた

先に読みたかった他の小説を読み終えてから
プルーストを堪能しようとおもってた

あの夏の日から
数ヶ月経ってようやく読み始めた

そしてわたしは戸惑った

こんなに容易にプルーストを
読めてしまっていいのか…?

でも、プルーストってほんとうは、
頭を抱えながら、理解に苦しみ
なかなか先へ進まない…
そんなふうにして読むべきものなのでは?
こんなにスラスラ読めてしまっていいのか…

少し葛藤しながらも読み進めた
(最後の方は理解に苦しむ場面もでてきた…)

けどそれとおなじくらいに
最高に素敵な本だった

記憶、景色、感情、
いろんな描写がわたしの心をつかんで離さない

はぁ…わたし、いま
最高の読書体験の真っ只中だ…
なんて、この縮約版を読みながらおもってた

わたし、数年前に
司書の勉強頑張ってた頃から
本は付箋つけながら読むことが
多くなったんだけど

今回は付箋だけではだめ、
とおもって特に素晴らしい部分を
メモしながら読んだ

でね、プルーストを読むにあたって
参考書じゃないけど、
これを買ってみた
本屋さんで偶然みつけたので

読んでたら、
知らないストーリーだらけだった

そりゃそうだよね、
だって13巻が一冊になってるんだよ?
色んな話を端折ってるに決まってる

そうおもうとやっぱり
全貌が気になった

もちろん、この一冊で今のわたしには
じゅうぶんすぎるほど、

プルーストの書いた
お話の美しさや儚さはもちろん
記憶や眠り、愛や嫉妬、芸術など
いろんなもの深くを味わったし
あたらしい発見をたくさんした

でもこれは言ってしまえば
本来の失われた時を求めてとは
別の本であって

同等のエッセンスが
素晴らしく散りばめられているものの
完訳版の中にはきっと
さらに奥深く世界は広がっている

まだまだ出会ってない素敵な表現に
もっと出会いたい
めった打ちにされたい
そうおもってしまったので
すぐに鈴木訳を買った、
とりあえず2冊

わたしはいま、鈴木訳をよんでいる

難しい

噂の通り、頭を抱えてしまうこともある

けど鈴木訳は
まだ読みやすいほうなのかな?
他の訳もきになるところだ…

わたしは特に“記憶”に関しての
プルーストの考えに感嘆した

他にも人間の深いところを
素晴らしく表現してて
ことばにできないような感情や
人間の心理をさらさらと綴ってておどろく

そんな素晴らしい作品が
世紀を超えて未だこうして
私たちが手にできることに
めちゃくちゃ感謝したくなった

先は長い、
読み終えたらまたnote書いちゃうのかな
どうなんだろう

とりあえず言えることは、
プルーストを読み耽ってるときは
最高に至福の時間が流れてる
(同時に難解さに頭も抱えてる、脳が溶けそうだ)

まだみぬ未来をたのしみに
いまを生きるよ