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マヂカルラブリーの漫才「フレンチ」何がすごいのか聞いてほしい

ありがたいことに公式がYouTubeで公開してくれているので、何十回と見てしまうこのネタ。そもそも知っていたのに、また今になって何度も笑わせて貰えるとは思ってもいなかった。

正直最終決戦に確実に残るように、一本目に吊革を持ってくると思っていたので驚きはあったが、この選択こそが優勝への鍵になったのは間違いない。特に序盤の巻き込み方が素晴らしかったので聞いてほしい。なお、一つ前の組は大爆発したおいでやすこが。相当苦しい順目であった中での登場だ。

大きく輝くMの文字、液晶に映る二人の姿。どのコンビもそうだがものすごくかっこいい演出だ。







この開く瞬間が堪らん。。。










まさかの正座。袖から出る通常の舞台では不可能なボケである。ネタが始まる前から掴みをやってのけたのはお見事。開始0分00秒で観客の心を掴むことに成功していた。勝負は時計の針が動く前から始まっているのだ。






「村上です」

「どうしても、笑わせたい人がいる男です」

当然の様に盛り込む。しかしあれがあっての今だと思うと相当感慨深いし、どんなダークホースが優勝するよりもドラマチックに見えた。






ここからは淡々とテーブルマナーについて村上が説明する。

・フォークとナイフは外側から使います。

店内ではお静かに。

・食事が終わったら斜めに置きます。

この説明におよそ50秒。ボケなしでたっっっぷりと時間を使う。

じゃあ入店からシミュレーションしてみましょう











この躍動感である。まさに緊張と緩和の集大成。

冒頭の「店内では」の部分をさりげなくミスリードに用いており、実はテーブルマナー外の入店から笑いを取ってくる。こういう細かい部分を見ても、しゃべくりと遜色のない緻密さ秘めているネタだと感じる。

少し話を戻して村上の説明の部分だが
村上「基本的なことだけど店内では静かに」
の発言に対し、
野田「まあな。」と当然の様に返している。
いや全然静かにしてませんやん笑。とツッコミたくなる。些細ながらも大好きな部分だ。

加えて村上の「違うよ」「違うよ」の連打。ただ喚いているわけではなく、野田の「シェフ?」に被らないタイミングで的確に合いの手を入れてくる。この声で更に笑いは増幅される。

登場からここまでの完璧な流れで現場を掌握することに成功した。一度掴んでしまえばネタ時間は残り数分。客が引いていく心配はほとんどない。長尺のフリからガラス割りの大ボケまでの時間を有用に使い、無事にウケてくれたのも勝因ではなかろうか。仮に開始5秒で1ボケ受けたとして、残り丸々4分弱を走りきれる保証はない。今思えばこのネタ構成はM-1に最適だった気がする。

あとはもう大木を振りかざし。


デモンを召喚し。

やりたい放題。完全に場を支配したまま終了。

実際終盤かなり笑いの量は減ったものの。上述の通り逃げ切った形となる。

上沼恵美子の採点が表示された時の2人の心からの「よっしゃあ!」溢れ出る万感の思いに、本当にもらい泣きしてしまった。

本当に素晴らしい。シェフの心臓を鷲掴みにする絵がよく浮かぶ、落語のような表現力。ただ暴れ回るだけでは無い、十分に芸術性のある作品なのだ。

家のテレビは録画機能がないので、採点の部分もはやくサブスクでもう一度見たいのだ。

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