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山行記録1―暑寒別岳―

 かつて登った山の記録を書きたくなったので、昨年の9月に暑寒別岳登頂の記録を書く。

 去年のこの時期くらいのことである。北海道の山を登りたい、そればっかり思っていた。長くて、なだらかで、人為的なものが何もない、そうしたイメージを北海道の山々に対して抱えていた。とはいえ関東地方に暮らす身として、気軽に行くことのできない、北海道のどの山を登ろうかと悩みに悩んだ。大雪山系はその距離の長さに、日高山脈は自分の技術力の足りなさで、それぞれ断念した。そうした中で、自分の実力で歩ける山でかつ美しい景色がひろがる、増毛山地の暑寒別岳の縦走を思い至った。

1:登山口の南暑寒荘まで

 北海道までの往復も含めて、2泊3日の行程で計画を組んだ(下図参照)。2日目の登山口から下山口までのルートは、獲得標高が1300mを含めた、全長が21kmである。これほどの長い距離は、体力がありあまっていた学生時代に白峰三山を縦走したとき以来である。果たして本当に無事に帰ってこれるかと不安になりながらも、旭川空港行きの飛行機に搭乗した。
 旭川空港から、旭川駅、深川駅、雨竜町へと、路線バスを乗り継いだ。そして雨竜市街から南暑寒荘までタクシーを利用した。バス代で約2000円、タクシー代が7000円と結構な出費がした。旭川駅周辺でジンギスカン定食を、深川駅前でウロコダンゴを、雨竜市街でセイコーマートのホットシェフおにぎりを堪能しつつ、前泊する南暑寒荘に到着した。
 南暑寒荘は無料の山小屋ありながら、とても清潔で、温水シャワー室まで備えてあった(とてもありがたい!)。夕食の棒ラーメンを食べて、翌朝の準備を済ませたころには、すっかり夜が更けていた。明日は5時に出発する、そう思うとあっという間に眠りについた。

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 登山行程図。1日目:青,2日目:緑,3日目:赤。

2:暑寒別岳縦走、21kmの行程

 南暑寒荘を出発したとき、空はまだ薄暗く、空気はひんやりとしていた。まずは雨竜沼湿原まで、沢沿いの登山道を1時間半ほど歩く。これといった難所もなく、非常に歩きやすい道であった。急坂を登りきると、眼前に雨竜沼湿原がひろがった。

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雨竜沼湿原。中央の山が南暑寒岳、右奥の雲がかかった山が暑寒別岳。

 雨竜沼湿原を歩いていて、とても気分が良かった。季節は秋であるためお花はあまり咲いていなったが、スゲ類の草原が黄金色に輝いていた。風がふわっと吹くと、風の形に合わせるかのように、草がなびいていた。池塘には透き通った水が湛えてあって、周囲の景色を鏡のように映していた。池に飛びとんだら違う世界につながっているような気がした。
 雨竜沼湿原から南暑寒岳までは、なだらかな登り坂が続いていた。快適で、眺めも良くて、言うことなしである。南暑寒岳で少しの休憩をとり、暑寒別岳に向かう。ここから先は、急な登り下りと深い藪を漕ぐ必要がある、険しいの道のりである。設置されたロープの助けを借りて、道しるべのピンクテープを頼りにしながら、道を進んでいく。途中で道を見失って迷うこともありつつも、なんとか暑寒別岳の山頂に到着した。遠くに日本海を見えたのが印象的であった。

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暑寒別岳山頂にて。遠くに留萌市街および、日本海を望める。

 しばらく暑寒別岳の頂上にて休憩したのち、13時30分に下山口の暑寒荘に向けて出発した。この時点でコースタイムを1時間超過しており、日没が気がかりである。それでも、頂上付近のガレ場地帯を除くと、ほとんどがなだらかで快適であった。ゴールの山小屋に向かってずんずん下っていく。道中でキツネやフクロウに出会ったりするなど、歩いていて楽しかったが、ヒグマの落とし物を発見して肝を冷すこともあった。そんなかんやで暑寒荘にたどり着いたのは、日没の少し前であった。無事に登り切ったと、ホッとした。

3:暑寒荘より帰宅まで

 暑寒荘は前泊の南暑寒荘と同様に無人の山小屋で、温水シャワーはなかったが、清潔で快適な小屋であった。暑寒荘にたどり着いたあと、夕食の棒ラーメンを食べて、寝床を準備して、泥のように眠った。とても疲れた。
 翌日、暑寒荘から増毛市街までの12kmの距離を、タクシー代をケチるために、歩いて行くことにした。前日の山行でクタクタに疲れた身にこたえたものの、道中の果樹園の直売所で採れたてのブドウを味わいつつ(とても美味だった!)、増毛市街にたどり着いた。
 さらっとではあるが、増毛市街を観光することにした。かつてのニシン漁で財を成した旧商家丸一本間家や、日本最北の造り酒屋である国稀酒造を訪れた。その豪華絢爛な建物や調度品に憧れつつ、(浴場の開業時間となって)日帰り浴場に向かう。浴場でさっぱりとして、そして帰途につくのだが、長い旅をしたものだと感じた。

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旧商家丸一本間家。調度品と収集品が印象深い。

 増毛市街から留萌駅まではバスで移動する。留萌駅に立ち食いそば店があり、昼飯も食べていないためニシンそばを食べることにする。クタクタに煮えたそばとニシンの甘露煮が空腹に染みた。

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留萌駅のニシンそば。うまい!という感想が思い浮かんだ。 

 留萌駅から鉄道の旅となる。窓を全開にして、国稀酒造で買ったワンカップをちびちび味うのは、とても心地よかった。旭川で空港行きのバスの乗車した。その途中で大雪山系の山々がとても大きく感じた。今度、北海道へ訪れるならば、大雪山系を縦走しなければならないと思った。

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