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書評:『人材育成・人事の教科書』

現代における潜在能力を定義した興味深い論文

今回紹介するのは『人材育成・人事の教科書』という書籍。

本書は月刊誌『Harvard Business Review』に過去掲載された人事関連の論文11本を1冊にまとめた書籍であり、中でも今回特に紹介したいのは本書の最後に掲載された「人材は潜在能力で見極める」というタイトルの論文だ。

論文の大意を要約すると、

「現代のような変化の激しい時代においては、変化に対応し未知との遭遇にも怯まないような「潜在能力」を備えた人材を登用することが企業の生命線となる。本論文ではビジネスにおける「潜在能力」を構成する要素を明らかにしつつ、それらを見極める方法を提示する」

という内容となっている。

潜在能力、即ち未だ発現していない能力を備えているかどうかを見極めるとは如何。

本論文によると、潜在能力評価とは即ち、激しく変動し不確実で複雑で不明瞭な現代の環境において、コンピテンシーに頼った人材評価と人材登用が次第に不適切になるつつある現代の考え方という。
こうした時代の要請を受け、本論文ではビジネスにおける潜在能力を構成する諸要件を以下のように言語化する。

  1. モチベーション

  2. 好奇心

  3. 洞察力

  4. 愛着心

  5. 意志力

そして、これら構成要件を人材登用の過程において如何に確認するか。
それには、相手に以下のような質問をするのがよいとされる。

  • 他人に反論された時どのように反応するか

  • 自分のチームを他人がどう評価しているか聞かせてもらうにはどうすればよいか

  • 考え方や経験、個人としての成長の可能性を広げるために何をするか

  • 組織内に学びの文化を育てるにはどうすればよいか

  • 「今は未知だが知らねばならないこと」を見つけ出すためにどのような手順を踏むか

これらについて、必ず具体的なエピソードを尋ねながら照会することが有効な判断材料になるとのことだ。

確かに現代は、ビジネス上の環境変化に加え、地政学的リスクや環境問題、気候変動等、人類史的な未知の環境も激しい変化を見せる時代となった。
こうした変化に柔軟にかつ粘り強く対応する能力こそが潜在能力なのかもしれない。

ビジネスに限らず、前述のような質問に自信を持って答えられるよう、知性を磨き人格的な鍛錬を続けていきたいものだ。

読了難易度:★☆☆☆☆
全部が全部斬新なのか度:★★☆☆☆
アイデアの斬新性よりもその言語化が魅力度:★★★★☆
トータルオススメ度:★★★☆☆

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