書評:竹田青嗣『ニーチェ入門』
ニーチェ哲学の最適な入門書
哲学者ニーチェの人と思想を端的に紹介してくれる入門書である。
元来衒学的欲求の強い私は、学生時代哲学書なるものを片っ端から手に取ってみたものであった。ニーチェについて言えば、『ツァラトゥストラ』、『道徳の系譜』、『善悪の彼岸』、『曙光』あたりを取り敢えずは読破した。
しかし、やっぱり全然わからない。カントのように一文が長すぎ句点がなかなか出てこなくてそもそも日本語として難解で紙と鉛筆が手元に欠かせない、ということはなかったのだが、ニーチェは非常に直感的な哲学者であるように思われ、学術的に専門家の見解をきちんと抑えないと何を言いたいのが中々読み取れないのかなぁなどとべそをかいたものである。
そんな私に助け舟を出してくれたのが本著であった。やっぱり「哲学素人には入門書!」である。結局、私のニーチェ理解は現在でも本著、および学生時代に受講した西洋哲学の講義内容にかなり依存している。
本著は、ニーチェを読み解くにあたり必ず押さえなければならないキーワード群、即ち、「権力への意志」、「ディオニュソス的肯定」、「ルサンチマン」、「永劫回帰」、「超人」等々であるが、これらについて丁寧にわかりやすく解説がなされている。しかも個々の用語の単独解説にのみ留まらず、それら用語間の関係性が整理されており、結果ニーチェ哲学を一つの体系として理解させてくれる点が秀逸であった(ニーチェの哲学が本来はそれほど体系的に整理し切れるものでもないという点が指摘されているにもかかわらず、意味も含めて)。
私の場合、ニーチェのキリスト教批判が特に説得力に富むものと感じられた。
どうでもいい話だが「ルサンチマン」という言葉は当時(学生時代)のマイブームになり、連呼しまくっていた思い出が懐かしい。
「何を如何に考えるか」という所謂本流的な哲学ではなく、「如何に生きるか」といういわば人生哲学がニーチェ哲学の特徴だというのが私の理解である。
読了難易度:★☆☆☆☆
ニーチェ全体像カバー度:★★★★☆
用語の解説平易度:★★★★☆
トータルオススメ度:★★★★☆
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